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【J2:第25節 山形 vs 大分】レポート:危機感をバネに、山形が無失点で4試合ぶりの勝利! 大分はまたもアウェイの難しさを乗り越えられず。(14.08.04)

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3連戦の3試合目、弱風が吹く間だけじっとりとした暑さから解放されるような条件下、立ち上がりはともにローギアでのスタートとなった。山形は4-2-3-1、大分は4-4-2。互いにその形を大きく崩す場面がないまま、「非常にテンポの遅いゲーム」(大分・田坂和昭監督)は進んでいた。両チームともギアをトップに入れる時間は限られたが、スコアレスで折り返した前半のシュート数は、山形11に対して大分4と大きく差がつき、それがそのまま双方の関係性を示していた。

「相手はブロックをつくって、前からという感じではなかったので、そこまで慌てることもなく回せた」とボランチの宮阪政樹。自陣でプレッシャーを受けないことは、ボランチを経由した攻撃の組み立てを考えれば好条件。その上で、「個人的にはミドルシュートをどんどん打ってたつもりです」と直接フリーキックからはバー直撃やGK武田洋平が弾いた左下隅を狙ったシュート、さらに流れの中からもミドルシュートを積極的に放ち、得点こそ奪えなかったものの、相手を前に引き出すとともに、攻撃をやりきることでカウンターを受ける回数を減らし、慌てずに済む環境を整えていった。また、キックオフから10分あまりで左サイドバックの石川竜也がオーバーラップを始め、右のスペースには秋葉勝や松岡亮輔が入り込み、中央のバイタルエリアでは伊東俊が足元で受け、それと入れ替わるようにトップ下のロメロ フランクは左サイドに流れて起点をつくった。山形の攻撃陣のこうした動きが流動的になるにつれ、大分の守備の対応が後手を踏んでいく。田坂監督は「そこ(組織)をはがされた時の対応ですとかリアクションだったりというのが非常に修正しきれてない。同じようなことを何回もやっている」と振り返った。サイドを突く動きをつかまえきれず、山形はサイドからためらわずに早いタイミングでクロスを入れることができ、中央ではターンした伊東の肩に後ろから手をかけた末吉隼也がイエローカードを受けるなど大分のファウルが多く、山形は得意とするセットプレーの数を増やすことができた。

押し込んだ山形は、大分の新しい2トップ、ラドンチッチと林容平へ送られる縦のフィードやサイドからのアーリー気味のクロスも、高い位置からのプレッシャーで防ぐことができていた。また、9試合ぶりの出場となったセンターバック・西河翔吾も1対1の対応では引けを取らず、ラドンチッチをほぼチャンスに絡ませずに45分間プレーした。大分は伊藤大介のくさびを受けた松本昌也のシュートがGK山岸範宏の手に弾かれた17分が最大の見せ場。数々のピンチを武田の好セーブを中心に無失点で切り抜けた前半を、伊藤は「こっちもチャンスはありましたし、そんなに拙いと思ったところはなかったし、ああいう戦いは今シーズンもあったので、そんなに心配はしてなかったです」と振り返ったが、その流れはハーフタイムを挟んでも変わらなかった。

宮阪のコーナーキックからニアに飛び込んだ55分の秋葉のシュートはサイドネットを揺らすにとどまったが、59分、自陣のクリア気味のボールを左サイドで受けたディエゴが前方の広大なスペースにスルーパスを送ると、ペナルティーエリア内で追いついたロメロ フランクがファーストタッチでそのまま前に持ち出し、左足で打てる態勢から大胆な切り返し。ロメロ フランクを追走し、シュートブロックのタイミングでスライディングしていた安川有はこれで完全に剥がされる。右足に持ちかえたロメロ フランクには巻いてシュートを狙うコースが残されてはいたが、「俊が目に入ったので、これは確実にいこうと思って俊にパスしました」と中央へのクロスを選択。スピードに乗り、しかも手前でワンバウンドする難しいラストパスとなったが、難度の高いプレーをこなしてしまうのが伊東の真骨頂。ピッタリミートさせて先制点をもぎ取った。

ビハインドの大分はサイドを押し上げ、早いタイミングでクロスを前線に当てるなどして押し込んだ。自陣でブロックをつくる山形は奪ったあとのボールが前線で収まらなくなり、流れは大分へ傾いていく。69分には末吉を下げて高松大樹を投入。オーブンな展開へと移行していく中で、72分のコーナーキックではラドンチッチがヘディングシュート、79分にはラドンチッチのヘッドでの落としから高松がシュートを放つなど、大分が決定機を迎えていた。その後も前を向きヘッドアップした松本昌や途中出場の土岐田洸平が高松のヘッドめがけてクロスを入れたが、ゴールには至らなかった。

すでに足をつった2人を交代させるなど疲労感を抱えながら大分の攻撃を懸命にしのいでいた山形は、87分に最後のカード、ロメロ フランクに代えて山崎雅人をピッチに送る。「監督からは『全部行け』と言われて、やることもはっきりしてました」という山崎は前線から激しくボールを追い、奪った後もスペースへ飛び出す動きを繰り返していた。アディショナルタイムに入ると、横パスをカットした宮阪やディエゴがミドルレンジから次々にゴールマウスを襲ったが、90分+3、ゴールマウスを飛び出し、山形のクリアボールを拾ったGK武田が安川に預けると、安川から武田へのリターンが弱く、それを見逃さなかった山崎が猛然と突っ込んだ。「ちょっと際どいボールやったけど体ごと行こうと思って」と武田と交錯しながら競ったボールは、センターサークル付近にいたディエゴの目の前にこぼれてきた。ゴールまでは40メートル近くあったがダイレクトで流し込み、山形が試合を決める追加点を挙げた。

前節、一人少ない中での逆転という形で7試合ぶりの勝利を挙げた大分だったが、連勝はならず。「我々が今、アウェイで勝ててないというところには何かしら原因があって、今日もそうで、自分たちからミスを起こしてしまう。自分たちから組織を崩してしまってそれをやられてしまう」。田坂監督は強調こそしなかったが、3連戦のアウェイが大きな負担になることは想像に難くない。ただ、そこを乗り越えていかなければ昇格は見えてこない。新戦力を生かしながらチームのレベルを上げていく作業は今後も続けられる。

「後期が始まって3連敗という精神的にも肉体的にもきつい中で、本当に選手の勝ちたい気持ちが出たゲームだったんじゃないかなと思います」。石崎信弘監督はいつものように淡々と話を続ける。「今日の気持ちを忘れずに、次からのゲームを戦っていきたいと思います」。前節から先発を4人入れ替え、このところの3連敗にも、ホームでの3連敗にも、一応終止符を打つことができた。しかし、失った分を取り戻したわけではない。膝の靱帯損傷による2度目の長期離脱を経験し、昨年8月25日・富山戦以来のリーグ戦出場となった小林亮は、「これまでも特にチームの雰囲気は悪くはなかったですけど、これからガラリと、またいい雰囲気になるんじゃないかなと思います」と話した。すべての力をいかに同じ方向に向けて進めることができるか。トライアルは続いていく。

以上

2014.08.04 Reported by 佐藤円
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