新潟が1-0でC大阪を下し、連敗を3で止めた。後半10分、途中出場の成岡翔が先制点。それを粘り強い守備で守り切った。C大阪は立ち上がりからミスが目立った。後半の決定的な場面も決め切れなかった。
第12節清水戦(3万5533人)以来の3万越えとなったビッグスワンが、久々に歓喜の声に包まれた。その中心にいたのが成岡だった。
後半6分、FW田中達也に代わって途中出場。本来の中盤ではなく、そのままFWの位置に。「前のポジションだったので、得点に絡もうと意識した」。それを体現するシーンは出場から4分後に訪れた。カウンターから右サイドに走ったFW岡本英也がクロス。そこに走り込み、体を投げ出す。ボールは相手DFと相手GKに当たり、そのこぼれ球を押し込んだ。
「最後は当たって入った感じ」と言う泥臭い決勝点。だが、決してラッキーではない。「クロスに対してニアに入ろうと思った。つぶれ役になろうと。オウンゴールも考えていた」。素早くクロスに反応し、相手守備を混乱させる。前半、ベンチで戦況を見ながら、チャンスを作っている流れは分かっていた。「だから得点が欲しかった。出るときは、相手の間に入るプレーを意識した」と、急所を狙うイメージはできていた。
中盤でチャンスメークしながら前線に絡むタイプ。途中出場でのFW起用は一見奇策。もっとも、新潟の柳下正明監督は「最終ラインと中盤にあったスペースをうまく使える選手。そこでのスピード感は非常にある」。成岡自身も「ゴールに近い位置でのプレーは好き」と言うように、ゴール前での判断力は的確だ。一番得意なプレーを、必要とされる展開の中で発揮した結果が、6試合ぶりのリーグ戦勝利に直結した。
「必ず勝点3を取るという気持ちの入ったプレーがあって、良かった」。柳下監督は新潟らしく粘り強く戦った選手たちを讃えた。終盤はC大阪にボールを持たれる時間帯が長くなった。そこを大井健太郎、舞行龍ジェームズの両センターバックを中心に体を張って防いだ。前半からボールを奪いに行く姿勢を見せ続けるなど、チームの意思統一はできていた。
それでも、まだ課題は多い。柳下監督が「ビッグチャンスはあるので、そこを決めていかないと苦しいゲームになる」と言うように、この試合も序盤から決定機を作ったが、そこで決め切れなかった。「この勝利がきっかけになればいい」と成岡。連敗を止めたことよりも、白星を重ねていくための1歩としての重要性を、この勝点3から見出していた。
C大阪は攻撃のリズムをつかむ前に失点したことが響いた。序盤は新潟のプレッシャーを受け、中盤でパスミスが続き、ボールを失った。後半に入ると、縦にボールがつながり出し、相手を押し込み始めた。
だが、いい流れになりかけたところで失点。コーナーキックをキャッチされたところか らカウンターを受け、戻りながらの守備を強いられた。「プロフェッショナルとしてあってはならない失点」。C大阪のマルコ・ペッツァイオリ監督は隙を見せたことを厳しく戒めた。
リードされた後、バイタルエリアでボールを持つシーンを度々作った。それでも、ゴールを割ることはできなかった。13分の藤本康太のへディングがGKに正面で防がれるなど、あと1歩でとどまった。山口蛍は前節鳥栖戦に続く0-1での敗北に、「チャンスが少ないのが分かっている中で、ワンチャンスをものにしないと勝ちにつながらない」と厳しく言った。
ともにリーグ戦再開後、苦戦が続いていた。それだけに、チャンスをものにするためのプレー質が、より大きく影響した。
以上
2014.08.03 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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