前々節、今季初めての連敗を喫した山形は、前節でも千葉に0-2と敗れ、連敗は3に伸びた。パスワークの精度ではJ2トップクラスの千葉に前半からボールを支配され、守備で動かされる展開は苦しく、前半にセットプレーで先制されたまま追いつけず、終盤には試合を決める2点目を喫した。前にボールを運ぶ姿勢、攻撃のアグレッシブさはそれ以前の2試合以上のものを見せたが、「間で受けれたり、前を向いたが、ミスが多かった」と秋葉勝。攻めきれれば問題はないが、相手と向き合い構えた状態からのミスが多く、奪われてカウンターを受けやすい状況もある。「リスクをかけて勝負するときは勝負していいと思うが、しっかりつなぐ時にはミスは減らしていきたい」(秋葉)。アタッキングサードでの精度は開幕当初からの課題だが、相手ゴール前で崩せない山形にとって改善の一つの手がかりとなるのは、後半から出場しトップ下に入ったロメロ フランクのプレー。結局は無得点に終わったが、バイタルで確実に起点ができ、セカンドボールを拾うことで得点の可能性は広がった。すべて精度の高いパス、ドリブル、シュートで一発で仕留めることが実際に難しいのなら、シンプルに攻め、リフレクションへの意識を高めることも一つの方法だ。
第11節・富山戦以降は失点が1以下と守備で抜群の安定感を維持してきたが、さらなる得点力アップをめざしカウンターによる得点の上乗せを意識した後半戦に入ると、すべて2失点で3連敗。松岡亮輔は「夏場に差しかかってきて、自分たちの連動したプレッシャーからボールを奪うということができてないと思う」と認めるが、高い気温の3連戦という条件下で、高い位置でのプレッシャーと自陣でのブロックを使い分けることができるか。山形にとってのプラス材料は、この時期に出場できないコンディションにある選手がGK清水健太のみで、試合に絡めていない選手も含めてほぼ全員がスタンバイの態勢に入っていること。「今の悪い流れをどう断ち切って勢いに乗っていくか。ホームでこのところ3連敗したなかで、自分たちの成長していくなかでの大事な試合になっていく」(石崎信弘監督)。総力戦で勝点3をつかみ取る。
大分は前節・栃木戦、キム ジョンヒョンの退場で一人少ない状況になり、さらに後半に入り先制まで許す苦しい展開となったなかで2-1の逆転勝利。二桁に定着しかかった順位は2つのドローと前節の勝利で7位まで再浮上した。林容平、ラドンチッチの新戦力フォワードがそろってゴールを挙げ、前回大敗している相手に対して、一人少ないなかで7試合ぶりの勝利を逆転でもぎ取った展開に、田坂和昭監督は「この試合はターニングポイントになるような試合でした」と振り返っている。アディショナルタイム直前にラドンチッチのゴールで同点に追いついた3節前の札幌戦や前節・栃木戦など、追い込まれた状況から勝点を得る成功体験を重ねていることは、3連戦のタイトな3試合目を戦ううえで大きなプラス材料になる。
ただ、チームを上向かせているのはそうした「火事場の馬鹿力」だけではない。たとえば栃木戦の序盤。ラドンチッチの頭上を越えラインの裏に送られた若狭大志のフィードを、ダイアゴナルに走った林がダイレクトで落とし、ラドンチッチが前を向きシュートまで持ち込んだシーンがあった。その前節、新たな2トップが初めて先発した北九州戦では、「2トップが新戦力で、そこに当てる戦術だったのだが、少し単調になってしまった。もっと自分たちでつないだり形をつくったりする場面も必要だった」(松本昌也)と、これまで続けてきた戦術に新戦力をどう落とし込むかは手探り状態だったが、新たな2トップと既存選手との連係、さらに2トップ同士の連係も中3日で着実に進んだ印象を受ける。中盤に出場停止明けの末吉隼也が戻る今節、チームの一体感はさらに確かなものになりそうだ。
この試合は、193cmのラドンチッチとそこからのセカンドボールをめぐる争いを核に回っていくことになりそうだが、ハーフウェイラインをはさんだエンドでも、山形は前節の後半同様、バイタルで起点ができれば攻撃は形になる。互いに相手のフィードやくさびをどう防ぎ、いかにセカンドボールを拾い続けることができるか。細部の地味なミッションを積み重ねた先に大きな一つのチャンスが待っている。
以上
2014.08.02 Reported by 佐藤円
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