今季初の引き分けはチームに何をもたらしたろう。湘南は前節、福岡と対戦し、0−0で敵地を後にした。過去23戦を22勝1敗と驀進してきた湘南にあって、黒星を喫した第15節愛媛戦以来の無得点ゲームとなった。
だが無得点とはいえ、「カウンターや崩しの部分は悪くなかった」と曹貴裁監督が振り返ったように、つくり出した好機は少なくなかった。序盤こそ雨上がりのレベスタのピッチに苦しむ場面も見受けられたが、らしく縦パスを織り交ぜながら次第にリズムを手繰り寄せ、フィニッシュへと繋げていた。
それでもゴールネットを揺らせなかった背景には相手GKの好守もあった。ただ曹監督はあらためてフィニッシュワークの精度やコンビネーションの質の向上に触れ、「次に繋げる勝点1にしなければいけない」と自分たちに矢印を向けた。勝利から得られる学びがあるように、あるいは愛媛戦の敗北からスタイルをより強く自覚したように、前節のスコアレスドローもまたチームが深化するための糧となろう。
無失点に抑えたディフェンス面も見逃せない。チャンスをつくりながらゴールに届かない展開は時として返り討ちに遭うものだ。実際、カウンターによる危うい場面もないではなかったが、リスクマネジメントを弛まずこれを凌ぎ、スコアレスに封じた結果が勝点1をもたらしたとも言える。
遠藤航は語っている。
「守備を含めて内容は悪くなかったと思います。0に抑えることは普段から意識しているし、チームとしていままでどおり続けていくことが大事だと思う」
攻守に得た課題と収穫、そしてドローに終わった悔しさをもって向かう次、湘南は今節、ホームに千葉を迎える。その千葉は既報のとおり関塚隆監督が新たに指揮を執り、以来、天皇杯2回戦を含めて公式戦3勝1分と好調だ。リーグ戦ここ2試合はチーム得点王のケンペスを出場停止で欠いたが、長崎との引き分けを経て前節は山形を2−0で降し、チームのポテンシャルの高さをあらためて示した。
4月に行なわれた湘南と千葉との前回の対戦は、両チームにとって記憶に遠くないだろう。第7節、フクアリに臨んだ湘南は前半から畳み掛けて4−0とリードし、後半もゴールを重ね、6−0で勝利した。
だが言うまでもなく今節は前回の対戦とは違う。湘南には湘南の、千葉には千葉の積み上げてきたものがある。データ上の特徴はそれぞれにある一方で、それだけにとどまらない深みも等しくあろう。なにより前回の記憶があればこそ、千葉の選手たちの今節に懸ける想いはより沸騰しているに違いない。出場停止が解け、試合当日にバースデーを迎えるケンペスのそれはことさらか。
「闘う気持ちに溢れていた。いかに前で奪って攻撃に繋げられるか、強いチームを叩くという強いモチベーションが内から湧いてきた」前回の千葉戦でゴールを決めた武富孝介は当時の心持ちを思い返す。大勝自体は忘れたほうがいいとしつつ、同様のメンタリティの大切さに触れた。
また、ここ数試合の反省を踏まえて武富は続ける。「圧力や球際など、一つひとつにもうワンパワーが必要だと感じます。自分の課題でもありますが、走れてきたなかでもう一段階、出力を上げたい」。とりわけ攻撃の最後の部分に力を注ぎたいと語った。
過酷な3連戦の締め括り、肉体的なダメージは両者に襲いかかることだろう。そして苦しければなおのこと、球際や切り替えの一歩や一瞬がシビアに勝負を分けるかもしれない。真夏の夜の芝の上に、研ぎ澄まされた互いの集中力が映える。
以上
2014.08.02 Reported by 隈元大吾
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