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【J2:第24節 東京V vs 京都】レポート:若いパワー全開の20位東京Vが、川勝前監督率いる上位・京都を撃破!(14.07.31)

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6本対7本と、シュート数そのものは決して多いとは言えなかったが、内容的には東京V、京都とも互いに意図が見えた、非常に見応えある一戦だった。

試合前、三浦泰年監督は、「サイドのマッチアップ」をポイントに挙げていた。その中で奮闘を見せたのが、右サイド澤井直人だったのではないだろうか。対峙したのは、川勝良一監督によってサイドバックとして起用されているMF駒井善成。ある意味、新指揮官の“カラー”ともなりうる部分だけに、「駒井選手はうまいし攻撃力も高い。自分なりに、どうやって対応しようかずっと考えていました」澤井自身も大事な役割を担っていることは十分承知していた。ただ、一方で、「攻撃面でのストロングになっている分、逆に守備ではウィークとも言える。そこをうまく突ければと思っていました」。前半こそ、何度か相手にうまく交わされ、攻め上がりからチャンスメイクを許す場面もあったが、「田村(直也)さんに『縦を切って』とかいろいろ声を掛けてもらい、後半はあまり攻めさせなかったと思う。攻撃でも、こちらが仕掛けることもできたし、わりとうまく(対応)できたかなと思います」この試合の1つのポイントとも言えた部分を制したことで、勝利に大きく貢献した。

また、京都に嫌がられたのが、FW陣のボールの収まりの良さだった。「一発で狙う場面が多かった気がする。もう少しゆっくり攻撃してもよかったのかなとも思います」と安在和樹は反省気味に語ったが、常盤聡、杉本竜士の2トップがしっかりとボールを収めたことで、逆に京都DFにとっては「あれだけシンプルに裏を狙われ、前で収められたら難しい(駒井)」と対応に手こずり、自分たちのリズムを生み出すことが困難となったようだ。

お互いに意図の見える中盤でのボール回しから、ゴール前付近までは持っていく。だが、シュートは打たせずとも、自分たちも打てないという状況がしばらく続いた。
そんな中での前半38分だった。南秀仁が常盤とのワンツーを混ぜつつ、自らが放とうとシュートコースを探しながら横にドリブル。だが、そこで一瞬、田村直也と目があった。「相手のセンターバックとサイドバックの間がうまく空いたのが見えたので、パスに切り替えました。『通るかな?』と思ったけど、うまく通ってよかった」。瞬時の判断でパスを選択した南の思いを、主将もアイコンタクトで敏感に感じ取った。「南と目が合ったので、来るかなと思った。誰が決めても良かったので、横にFWでもいたらパスを出してあげようと思ったけど、いなかったので自分で打ちました」GKとの1対1を冷静に決めた田村の東京Vでの初ゴールは、アイコンタクトで伝わる、チームメイトと深めてきた共通意識と自らのキャリアで培った決定機での落ち着きが生んだ、見事な決勝弾となった。

後半になっても、東京Vのアグレッシブさは衰えなかった。多少の運動量の減少はあったにせよ、それは京都にも言えたこと。その中で、勝敗を分けた大きな差は、セカンドボールへの反応だった。試合後、多くの京都の選手たちの口からも聞かれた上、会見での川勝監督の「球際とか、うちが今までやってきたことを、逆に今日はやられていた」とのコメントからも明らかだろう。セカンドボールに限らず、後半アディショナルタイムにも決定的場面を迎えるなど、リードしている状況でも最後まで次の1点を奪いに行く勝利への意識でも差があったのかもしれない。いずれにせよ、「ハードワーク、プレスとプレスバックの連続、ボール際、セカンドボール、切り替え、サッカーの中で当たり前のことなくして良いサッカーはできない」との三浦監督の言葉を借りれば、この試合、より“良いサッカー”に値したのは東京Vだったと言えよう。

その東京Vのハードワークを生んでいるのは、「うしろ(ベンチ)に良い選手が控えている」という、チームメイトへの絶対的信頼感ではないだろうか。中3日での試合となったが、試合開始から、誰ひとりとしてペース配分を考えてプレーを加減していた選手は見当たらなかった。「誰が出ても勝てるチームになってきている」と、澤井は力強く言い切る。同時に、今節の勝利によって、後半戦3試合負けなしと結果がついてきている要因を、こうした澤井ら「若い選手が(前々節)磐田戦での勝利から自信をつけ始めていることが大きい」と、鈴木惇は語る。
象徴するかのように、21歳の南が頼もしい眼差しで語った。「チームが『簡単には負けない』という雰囲気になってきた。それは、勝っているチームのメンタル。すごく良い雰囲気だと思います。今は、負けることは許されない感じになっている」
若いチームゆえ、勢いの乗ったら破竹の勢いがある。だが、一方で、過信につながりやすいこと、その勢いが削がれて急降下していく脆さを、田村ら経験者は十分熟知している。「自信にするのはまだまだ早い。結局、今日も1点しか取れなかった。試合を決定づけるゴール、後半に入りFWが追えなくなったときの守備など、課題はたくさんある」と、轡を引き締める。次節(8/3@カンスタ)の岡山もまた、磐田、松本、京都とは違ったスタイルを持つチームである。そういう相手のサッカーに、どれだけ自分たちのサッカーが通用するのか。謙虚に、アグレッシブに立ち向かいたい。

敗れた京都は、やはりセカンドボールで相手に後手を踏んだことが、まず一番の大きな敗因と言えた。ただ、その先では、「真ん中で持つ時間が長すぎて、サイドを空けていたり、サイドを1回使って逆サイドに振るというのをほとんど使わなかった。中央のショートパスで足元につける。遅れてからワイドに散らすという悪循環が続いていた」と、就任後から意識付けしてきた“散らし”を有効に使えなかったことも、川勝監督は敗因に挙げた。
それでもやはり、工藤浩平、山瀬功治、伊藤優汰といったテクニックある中盤の選手が前を向いてボールを持つ場面では、好機を生んだ。だが、「その後の精度が問題」だと、複数の京都選手が語っている。フィニッシュの精度が、今後J1昇格戦線を勝ち抜くためのテーマとなる。

結果として1−0という「シビレる点差」(田村)だっただけに、90分間、選手も観客も集中力を欠くことなく楽しめた。もっと言えば、東京Vも京都も基本的なテクニックがしっかりとしている選手が揃っている上、哲学とスタイルを貫く指揮官に率いられているだけに、パス、ドリブル、クリア、シュートなど、それが成功する、しないにかかわらず、プレー1つ1つに意図がはっきりと託されており、観ていて非常に楽しかった。
両者が、この後どのような戦いをしていき、最終的にはどのような結果で終えるのか。実に興味深い。

以上

2014.07.31 Reported by 上岡真里江
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