関塚隆監督の元でスタメン争いが激化しているさなか、前節(第23節)は出場停止で今節はスタメンに戻ったのがキム ヒョヌンと谷澤達也だ。特に攻撃陣のスタメン争いは熾烈で、前々節(第22節)で警告を受けた瞬間の谷澤の「しまった」と言わんばかりの表情からは危機感が伝わった。それだけに今節で谷澤は持ち味を発揮しながら気迫あふれるプレーを見せ、キム ヒョヌンも守備だけでなく攻撃でも特長を生かして勝利に貢献した。
この試合で、千葉はいかに山形のセットプレーとカウンター攻撃の脅威を受けないようにするかが、勝つためのポイントの1つだった。それでも、特に中盤での球際の激しい攻防に加え、技術的ミスや連係ミスでのボールロストもあって、千葉は山形の脅威を受けた。開始わずか2分にゴール前からやや離れていたとはいえ山形にFKのチャンスがあったし、13分には千葉の兵働昭弘がコントロールしきれなかったボールを山形が奪い、最後はディエゴがシュートに持ちこんだ。だが、そこで山形がプレーの精度を欠いたのに救われ、13分、千葉はこの試合で2度目のCKを先制点に結びつけた。その2分前のCKでは中村太亮の蹴ったボールはファーサイドのキム ヒョヌンが届かない位置に飛んだが、13分ではファーサイドでキム ヒョヌンが高い打点のヘディングシュートを決めた。
追加点で勝利を引き寄せたい千葉だが、29分の森本貴幸のシュートはゴールポストに弾かれ、こぼれ球を繋いだ後の中村のシュートは山形のGK山岸範宏がセーブ。その3分後に山形は右サイドを崩してシュートまで持ち込むが、千葉のGK岡本昌弘にキャッチされた。じわりじわりと山形が両サイドを突き、主導権を奪い返そうとして前半が終わった。
だが、後半の最初の決定機は千葉だった。56分、山形のCKをクリアしたあとに千葉は大岩一貴がカウンター気味に攻め上がり、最後は谷澤がゴールポストのわずか横へのシュート。すると山形の石崎信弘監督は、57分、中島裕希に代えてフィジカルが強いロメロ フランクを入れ、ディエゴを前に上げた。これで推進力を強めた山形が押し気味になるが、千葉は「攻められた時にウチの人数が足りないということがあまりなかった」(山口智)守備で耐える。特に試合を通してキム ヒョヌンがハイボールをはね返す強さと高さは見事だった。さらに、68分、佐藤健太郎が右足を気にするしぐさをすると、関塚監督は用意していた大塚翔平をそこでは出さず、佐藤健太郎に代えて佐藤勇人を投入して対応した。
73分頃には山形は右サイドバックの山田拓巳が攻め上がるのが目立ち、その対応による疲れからか山口智のクリア気味のパスに追いつけないこともあった谷澤だが、1−0の勝利が見え始めた90分頃には井出遥也とともに走り回って前線からプレッシャーをかけた。そして、90+1分、ボールを持ち上がった谷澤のシュートがゴールポストに弾かれたのに大塚が詰め、千葉が欲しかった追加点を奪取。決定力不足が目につきながらも勝ちきった。
3連敗の山形は速く攻めきれそうなところで手数をかけ、そこでのミスで決定機を作りきれなかった。せっかくボールを奪って攻撃に転じたのにフィニッシュまで持ち込めず、すぐに相手に攻め返されては守るのも難しい。ゴール前のプレーの精度の向上は急務だ。
千葉もまた、例えば87分にボールを奪ったキム ヒョヌンが左サイドを攻め上がった時に呼応して前に走る味方が少なかったように、カウンター攻撃のチャンスでシュートまで持ち込めないのが目についた。パスを繋いでの組み立てでは孤立しなかった森本だが、森本と2トップ気味の山中は前への意識の強さからか自由に動き回りすぎるなど、森本にロングパスが入った時の味方の距離感は今一つでサポートは少なかった。千葉は相手の裏をうまく突くチャンスを有効に生かし、それを得点に結びつける賢さと強さが欲しい。
以上
2014.07.31 Reported by 赤沼圭子
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