先制点は試合開始間もない。リスタートから右サイドへ展開し、藤田征也が縦に仕掛ける。多くが攻め入るゴール前、「ウェリなら勝てると思って入れた」藤田が送ったクロスはピンポイントでウェリントンを捉え、コーンロウの力強い振りとともに湘南が先制した。
以降も湘南は攻勢に出る。縦への意欲たくましく、動きのなかで相手の懐にクサビを打ち続けた。たしかにミスは多く、前傾になっている際に失ったシーンには危うさも垣間見えたが、相手のカウンターに備えるDFやGK秋元陽太ら守備陣のコンセントレーションは絶えず研ぎ澄まされていた。なにより、自分たちらしいサッカーが思うように発揮されなかった前節から踏み出そうとする気概がピッチに満ちている。
一方、立ち上がりの15分に注意を払いながら先制を許した富山だったが、相手の攻勢の傍らでアーリークロスからゴール前の勝負に持ち込んだり、セットプレーで好機を演出したりと反撃の糸口を探っていた。出し手と受け手のイメージに齟齬が見受けられる場面もあったが、「前半は相手のミスを突いていいカウンターができていた」苔口卓也は振り返り、あわせて最後のパスやシュートの精度の必要を口にした。
だが後半は、「セカンドボールを拾えなくなり、そこから自分たちの時間がつくれなくなった」と秋本倫孝が指摘したように、湘南がさらにポゼッションを強め、セットプレーを含めてゴール前の勝負に持ち込んでいく。ときに繰り出される富山のカウンターに対してもボールへの鋭い寄せや素早い帰陣で応じた。そうして湘南の次のゴールはやがて訪れる。
86分、縦パスから菊池大介を経て左サイドへ展開する。大外を追い越した三竿雄斗のクロスに合わせたのは、交代間もない樋口寛規だった。「ルックアップしたときにニアで欲しいというアクションをしていた。動き出しもハッキリと分かりやすく、そこに蹴れば絶対合わせてくれると思った」三竿が言えば、「相手の状況を見てニアに当ててくれた。そこしかないというポイントだった」と樋口も振り返るあうんの一撃は、勝負を決定づける追加点となり、スタジアムの温度を引き上げた。歓喜とともに再びギアを上げた湘南は、相手ゴール前に攻め込んだ先で長い笛を聞いた。
自らのゴールで湘南デビューを飾り、ポストを叩くなど他にも好機をつくった樋口は、あわせて「湘南はチーム全体でまとまって戦うなかで一人ひとりのよさが出ているチーム。イメージ通りのところもあったのでスムーズに入れた」と語った。開幕直後に合流した藤田然り、1年目で結果を残している選手たち然り、彼ら自身の能力はもちろん、湘南はこうだと誰もがイメージできるスタイルを積み上げてきた歴史がそれぞれの躍動の背景にある。
湘南、富山ともに積み上げる道のりは続いていく。次のゲームは中3日、真夏の連戦に厳しさは増すに違いないが、自分たちらしさをそれぞれに発揮し、歓喜に結びたい。
以上
2014.07.27 Reported by 隈元大吾
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