今週末のＪ２第23節・北九州vs.大分戦は「門司区民感謝デー」。ということで、北九州市門司区では北九州のマスコット・ギランや選手たちが参加してPR活動が集中して行われた。また、この試合から４試合にわたって登場する限定ユニフォームも出来上がり、いち早くお披露目された。

本文へと進む前に門司区についてちょっとだけ紹介。門司は関門海峡に面する港湾都市で対岸が本州最西端の下関市。１８９９年に門司市制施行、51年前に北九州市に合併し門司区となっている。区役所のある「門司港」は鉄道や瀬戸内海を使った内陸物流と外国貿易の中継地となる交通の要衝。それゆえに明治〜大正時代から商社や金融機関が当時最先端の瀟洒なビルを次々と建造してきた。いまなお現役で利用されている建物も多く、小倉からも電車で15分ほどのアクセスの良さから、近年は「門司港レトロ地区」として観光面で再注目されている。ちなみに名物は「焼きカレー」や「バナナのたたき売り」だ。

７月26日の門司区民感謝デーは門司区民をバックスタンドなどに無料招待したり、門司区の名物料理をスタジアム販売したりと、門司にフォーカスしたものになる。そこで北九州は７月19日と24日にPR作戦を敢行。参加した下村東美選手が「自分が思っていた以上に応援してくださっている」と驚くほどの盛り上がりを見せた。

PR作戦初日の７月19日の土曜日には北九州の元選手・藤吉信次さんとギラン、門司区のゆるキャラ「じーも」、門司港レトロ地区の名物キャラクター「バナナマン」がキャラバン隊を結成して、門司港レトロ地区や商店街でPR。チラシは２０００枚を用意したが、訪れたほぼ全ての店がチラシの設置やポスター貼りを受け入れてくれるなど好評だった。
門司港には北九州の選手寮があり、市街地からは離れるが主練習場の「新門司球技場」も門司区内にある。「おらがまちのクラブとなっていくよう応援していきたい」。そう話しているのは『バナナマン』としてまちづくりにも関わる秋武政道さんだ。大分戦に向けても「東九州が熱く燃え上がるように、勝負にはしっかり勝ってもらって、それ以外のところでは協力して盛り上げていきたい」と熱弁をふるい、PRに力を注いだ。

さらに７月24日には下村東美選手と山之内優貴選手が夏季限定ユニフォームを着て門司区役所を表敬訪問。近藤晃 門司区長からエールを受けたり、応援の絵馬を受け取ったりして、熱い応援に気持ちを新たにしていた。ちなみに下村選手と山之内選手はともに寮が生活拠点の「門司区民」。下村選手は「海が目の前にあり住みやすい」と話し、山之内選手も区役所自体が重厚な作りで「レトロで、歴史を重ねてきたんだなと思う」と感心しきりだった。
余談だが寮では山之内選手曰く「トウミさんは大先生」。サッカー漬けのままプロ選手として歩み始めた山之内選手を気遣い、下村選手は山之内選手に「サッカー以外のことも教えてますよ。社会のことや、ニュースがどうなっているかとか」と大人への手ほどきをしているという。もし北九州を離れても、両選手には思い出の地として深く刻まれることになりそうだ。

選手が着ていた夏季限定ユニフォームは７月26日の大分戦から８月10日の水戸戦までの４試合、ホーム・アウェイを問わず着用する。表に北九州市内各地の名物が、背面には８月２日と３日に開催される「わっしょい百万夏まつり」の花火（打ち上げは３日のみ）がデザインされている。下村選手は「赤色はエネルギーをもらえるし、まちの雰囲気が入っているユニフォームは他にないのでは。（限定着用期間が）終わっても着ていたいくらいですね」と気に入った様子だった。

また、北九州は７月23日、柱谷幸一監督と前田和哉選手、大谷幸輝選手が北九州市役所を訪問。北橋健治市長に夏季限定ユニフォームを贈呈した。北橋市長は「祭りに沸く北九州にふさわしいカラー」と出来映えを喜び、「５位は日ごろの努力のたまもの。喝采を贈りたい」と称えていた。昨年は紫色の夏季限定ユニフォームを取り入れたが実は未勝利。北九州は今年は燃える赤で限定ユニの勝利を狙う。応援をパワーに、まずは１勝を挙げたい。

以上

2014.07.25 Reported by 上田真之介