7月も終わりに近づき、世間は夏休みに突入する。今節から第25節まで9日間で3試合の過密日程となり、チームの総力が問われる時期だ。連戦であるがゆえに心身ともに極限状態に追い込まれるが、勝点を積み重ねられるチャンスでもある。夏を制するチームはどこか。“J2夏の陣”が幕を開ける。
今節は松本対東京Vの『緑ダービー』第2章だ。試合の前に両チームの状況をおさらいしたい。
まずホームの松本だが、前節・長崎戦は苦しい一戦となった。特に前半は長崎の勢いの前に圧される時間が続き、後半も大きく展開は変わらなかったものの、72分に先発復帰の多々良敦斗のヘッドで先制。船山貴之のループシュートで加点。シュート6本で2得点というワンチャンスを逃さない効率の良い攻めを見せれば、守備陣もクリーンシートに抑える健闘。終わってみれば2−0で勝利し、磐田の敗戦により単独2位浮上となった。「どっちに転んでもおかしくない試合展開。非常に厳しいゲームだった」と反町康治監督は前節を総括したものの、難しい試合をしたたかにモノにして、勝点3を持ち帰れたことがチームの現状を物語っている。
その磐田に土をつけたのが、アウェイの東京Vだ。殊勲者は南秀仁と杉本竜士の21歳コンビ。15分に南、その8分後には杉本が追加点。後半に山崎亮平に1点を返されたものの、敵地で9試合ぶりの勝点3奪取に成功。狭いエリアでもボールを繋ぐ、あるいは大胆にドリブルで仕掛ける。躍動感溢れる東京Vのサッカーが今なお健在であることを知らしめた勝利だった。今節は中盤のキーマンとして機能していたニウドが出場停止となるが、試合出場に飢えている選手のモチベーションの高さを考えると、単純なマイナスとはならないだろう。吉野恭平か中後雅喜を起用するか、或いは田村直也をスライドさせるか――。選択肢は幾つかあるが、チーム力は劇的に落ちることはないと見る。
今季は開幕戦で相対し、3−1で松本が勝利を飾っている。しかし、「若い選手が試合経験を積んで成長している」と反町監督も指摘するように、前半戦こそ経験不足が露わとなる場面も多く見受けられたが、若手選手は着実に成長を遂げている。現在の順位とそのチーム力は比例していないと考えるのが妥当で、少しでも気を緩めたら間違いなく牙を剥かれる。年齢や経験は関係なく技術レベルに高い選手が揃うだけに、「耐える時間も長くなるはず」と岩間雄大は展開を予測する。そのうえで「勢いに飲まれないように自分たちのサッカーをしたい」。松本の持ち味であるハードワークで対抗することで、結果的に相手の良さを消して主導権を引き寄せられる。あとはワンチャンスを決めきることができるかだ。
以上
2014.07.25 Reported by 多岐太宿
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