第９節では、西京極でスコアレスドローに終わった愛媛と京都の対戦。愛媛は当時と違って得点力を増しており、逆に京都の失点が続いていたところもあって、今回はスコアが動くのではないかと考えていた。しかし、終わってみれば再びスコアレスドロー。「後半戦に向けて特に失点しないということ」（川勝良一監督）と修正を図った京都の守備に、愛媛は「うちのよさを上手く京都が消した。攻守ともに消されてしまった」（石丸清隆監督）こともあり、互いにゴールが生まれることはなかった。このように両指揮官が振り返った通り、立ち上がりから京都がいい守備をして主導権を奪った一方で、逆に愛媛も守備では最後まで粘り強く対応。互いに決定機と呼べるような場面が少ない、手堅いゲームとなった。

特に前半、愛媛のシュートをゼロに抑えた京都の守備はパーフェクトだった。愛媛の攻撃を支えている２シャドー、河原和寿と堀米勇輝にボールが入れば厳しくチェック。特にこの２人に対して、京都はボランチの田森大己と工藤浩平が目を離さない。河原や堀米が自陣に落ちてもボランチのどちらかがチェックをして前を向かせない徹底ぶりで、愛媛のよさを１つ消した。さらに京都は前からしっかりプレッシャーを掛けたことで、愛媛は自由にボールを動かすことができなかった。これで河原は「割り切って守備をしたところがあった」と振り返ったが、ボールを保持した京都も攻撃の部分ではサイドで起点を作りながら、最後は整った愛媛の守備を崩すしかけができなかった。

そこを切り崩そうとした数少ない１つの形が、後半最初のプレーだった。京都は左サイド、ペナルティエリアの外からワンツーで山瀬功治が抜け出してシュートを放った。ここは愛媛のGK児玉剛が右足でセーブをしたが、右の伊藤優汰も含めてダイレクトプレーや３人目の動きで抜けていく形がより多く作れれば、京都にもゴールのチャンスが膨らんだだろう。ただ、その京都だけでなく愛媛も攻撃に転じたところでの簡単なミスも多くあり、最後までスピードが上がり切らなかった。

そして愛媛も、後半に関しては幾つかチャンスを作った。まず、ファーストシュートになったのが55分のプレー。吉村圭司が大きく右サイドに展開し、藤直也がドリブルで仕掛ける。最後は西田剛がボールを受けて前を向きシュート。ようやく愛媛が京都のプレスをかいくぐると、今度は59分に堀米が起点となり、河原を経由して左サイドを駆け上がったキム・ミンジェにラストパスを送る。これは伊藤とGKオ・スンフンに阻まれたが、京都のプレッシャーが少し緩んだ隙を逃さず、またサイドチェンジや最終ラインからのオーバーラップなど愛媛は前半とは違った形で京都ゴールを目指す形を出していった。そして、愛媛にとって最もゴールに近づいたのが82分だった。自陣で奪ったボールを河原が運びカウンター。右サイドを藤が駆け上がり、フリーでシュートを放ったものの、ゴールの枠を捉えられなかった。
その点で得点には至らなかったが、後半に関して愛媛は前半とは違った打開策も見せはじめ、最後にリカルド・ロボも投入してゴールを目指した。結局勝点３は得られなかったが、守備では最後まで集中して無失点に抑えたし、攻撃でも何とかしようという姿は出せた。思うようにならないゲームで勝点１をつかんだことはポジティブにとらえなければならないが、あくまでもリーグ後半戦で求められるのは勝点３を積み上げること。愛媛はその部分に対する積み上げの成果を、次のホーム札幌戦（７／２６＠ニンスタ）ではゴールという形で示さなければならないだろう。

以上

2014.07.21 Reported by 近藤義博