残留争いの火ぶたを切る後半戦の直接対決は1−1のドローに終わった。ともに勝利を手にするチャンスが十分にあったが、富山は最終ラインのミスから失点し、讃岐はPKを決め切れなかった。痛み分けの妥当な結果といえるかもしれない。
前半は両チームとも人数をかけてしっかり守る慎重な立ち上がりだった。富山は先週の天皇杯と同様に、最終ラインから中盤にかけてパスを回しながらゲームのリズムをつくることを優先。ボランチ大山俊輔のテクニックを生かし、攻め急いで相手のカウンターを浴びる展開を避ける意図があった。その中でもサイド攻撃から好機をつくり、19分にMF木村勝太のクロスのこぼれ球をMF内田健太が狙うなど押し気味に進めた。
守備でも讃岐の自陣でのボール保持は許容しながら隙なく対応し、FW木島良輔の単騎攻撃だけに封じていた。しかし、38分に思わぬかたちで失点を許してしまう。DF陣のパス交換のわずかなずれを突かれて木島にボールを絡め取られ、GKとの1対1を落ち着いて決められてしまった。直後にも「絶対に負けたくない試合」と古巣戦に燃えたMF関原凌河にロングボールで裏へ抜け出されてピンチを迎えたが、今度はGK飯田健巳が好セーブでチームを救った。
「試合の流れとは関係のないところで失点する」(安間貴義監督)という今季の課題がまた露わになって苦しい状況に。しかし今回は踏みとどまって後半の攻勢につなげた。同12分に7試合ぶりの出場となるFW西川優大を投入して2トップ、2シャドー、1アンカーの[2−5−3]のようなフォーメーションに変更。すると同18分、MF中島翔哉のドリブルでの仕掛けを起点にスピードアップして左サイドに抜けた西川がクロスを送り、ファーに走り込んだ木村が決めて同点に追い付いた。その後も逆転を目指して押し込み、同23分にFKの流れから木村のクロスにMF白崎凌兵が飛び込んだ場面など立て続けに好機をつくった。
スタジアムのボルテージは高まったが富山に勝ち越し点は生まれず、残り時間はアディショナルタイムの4分に。だがさらにドラマが待っていた。
讃岐のMF藤田浩平がスルーパスから好機をつくってPKを獲得。富山出身のDF西野泰正がキッカーとして立ったがシュートは大きく上に外れた。「GKが動いたので逆方向に押し込もうとしたが…。勝たなければいけない大事な試合だったのに申し訳ない」と肩を落とした。昨季は主将として讃岐をJリーグ参入に導いた。前回の富山戦でJリーグ初勝利を挙げた直後も「今日のような試合を続けていけば勝点は重ねていける」と語り、チームのこれからの戦いへと目を向けていた。富山第一高校で全国4強に入った時から地元を代表するサッカー選手として活躍してきた彼に同情した観客も少なくないだろう。『PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけ』との言葉が浮かんだ。
両チームとも勝点1を手にしたが、2を失ったとも捉えられる。リーグ戦が終わった時、今回の試合を後悔しないように残り20試合で勝点を重ねることを願っている。
以上
2014.07.21 Reported by 赤壁逸朗
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