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【J1:第15節 清水 vs 川崎F】レポート:清水は前半に自分たちのサッカーを見せたが、後半に川崎Fがチーム力を証明。攻撃力の差がそのまま結果にも表われた一戦(14.07.20)

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前半は非常に集中した組織的なサッカーで清水が主導権を握り、川崎Fの攻撃も封じていた。ただ、後半に向けて残していた余力の差は、観る者の想像以上に大きなものだった。

清水の布陣は、先週の天皇杯2回戦の後半と同じ中盤―すなわち本田拓也と六平光成の2ボランチにノヴァコヴィッチのトップ下という形で、変わったのは石毛秀樹に代わって河井陽介が先発に入ったところだけ。一方、ケガ人の多い川崎Fは、火曜日のC大阪戦には出場したセンターバックのジェシもケガで欠場し、日本人だけの先発イレブンで中3日の試合に臨んだ。

一雨降って涼しくなり、ピッチも水を含んでボールが走りやすくなったアイスタで良いスタートを切ったのは、ホームの清水。守備の組織をコンパクトに保って、最前線の大前元紀からしっかりとプレッシャーをかけ、中盤に入ったボールを素早く囲んでボールを奪うという狙いがうまく機能。そこから攻撃した際にも全体の押し上げがしっかりとできて、セカンドボールも拾えるし、カウンターへの対応も早くできるという自分たちのやりたいサッカーができていた。
その結果、川崎Fにほとんどチャンスを与えず、自分たちは12分にクロスバーをかすめた高木俊幸のミドルシュート、30分の右クロスからの大前のヘディングシュート、36分のオフサイドで幻のゴールとなったノヴァコヴィッチのヘディングシュートなど、決定機も作ったが決めきれなかったことが、唯一前半で残念だったところ。
それに対して川崎Fのほうは、清水のタイトな守備に苦しみ、スリッピーなピッチの影響でミスも多くなって、なかなか思うようなサッカーができなかった。だが、それでもまったく慌てていなかったのが、今の川崎Fの強み。「前半はけっこうパスミスが多かったけど、狙ってのパスミスなので全然問題はないと感じていたし、下がけっこうスリッピーだったので、後半は徐々に合ってくるだろうなという感じで後ろから見ていました」と、リーグ戦では今季初出場の實藤友紀が語るだけの余裕があり、「前半もずっとボランチ、センターバックをうまく使いながら(ボールを回しながら)、相手FWの守備の回数を増やすというのが狙い」(中村憲剛)と、清水の前線の選手たちの体力を消耗させる狙いも持っていた。したがって、前半を0-0で折り返したことは、川崎Fにとっては十分な結果だったと言える。

そして後半に入ると、立ち上がりから清水のミスを突いたショートカウンターをきっかけに川崎Fが押し込む場面を続けざまに作り、清水のDFラインを下げさせて、自分たちが使いたい中盤のスペースを作っていった。そうして川崎Fが中盤で前を向いてボールを持てる場面が多くなると、大久保嘉人や小林悠の裏への飛び出しが威力を発揮するため、清水もDFラインを押し上げることができず、全体が間延びして川崎Fの注文通りの展開になってしまう。
これで試合の流れは一気に変わり、そこに拍車をかけたのが後半9分の川崎Fの先制点。右サイドでしつこくパスを繋ぎながら最終的には中村の鮮やかなパスでペナルティエリア内に侵入し、小宮山尊信の右クロスをファーサイドの小林が頭で押し込んだゴールは、そこまで非常に頑張っていた清水の選手たちに大きなダメージを与えた。

その後は、反撃を試みる清水の中盤にさらにスペースができて、最後まで川崎Fのペース。そんな中で、後半17分の速い攻撃から小林のシュートが左ポストに当たり、その跳ね返りをしっかりと予測していた大久保が押し込んで2点目をゲット。大久保は、ワールドカップからの帰国後に2試合連続でゴールを決め、得点ランクの首位に立った。
それでも何とかホームの意地を見せたかった清水は、3失点目を防ぎながら必死の反撃に出るが、最後まで流れを変えることはできず、流れの中ではなかなか決定機を生み出せない。セットプレーでは何度か可能性が見えたが、それも川崎Fに守り切られて0-2のままタイムアップを迎え、6戦勝利なしで順位を12位に下げた。
一方、川崎Fのほうは「セレッソ戦もそうだったけど、自分たちの攻撃が初めはうまくいかないからといってやめるのではなく、根気強く淡々とやり続けることの大事さというのを、この2試合ですごく感じています」(中村)と、ケガ人続出で台所事情が苦しい中、自分たちのサッカーに対する自信を深める試合となった。

前半と後半で大きく流れが変わった試合だが、清水が前半で今ある力を出し切っていたのに対して、川崎Fは余裕たっぷり。とくに後半で印象が強かったのは、攻撃力の差だ。ボールを支配しながら確実に前に運んでいく力、そこからパスで崩してチャンスを作り、それを決めきる力。川崎Fは「ペナルティエリアの3辺から入っていく」(風間八宏監督)ということを強調しており、中央からきっちり崩していくのはもちろん、サイドの2辺からも単純にクロスを入れるのではなく、しっかりと崩してエリア内に入っていくということを狙っている。先制点の場面などは、その狙い通りじっくりとパスを回した末に見事に右サイドから崩しきっていた。
それに対して清水は、サイドの2辺を崩すという発想自体があまりなく、サイド攻撃はクロス主体。この試合では、ペナルティエリア3辺のどこからも、うまく侵入していくことはできていなかった。その違いをタレントの差だけで片づけることはできない。それよりもチームコンセプトの差が、象徴的に表われてしまった試合と言えるのではないだろうか。

以上

2014.07.20 Reported by 前島芳雄
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