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【J1:第15節 柏 vs 仙台】レポート:荒天の影響で戦い方を割り切った仙台と、それでも戦い方を貫いた柏。しかし決着はつかず、ここ4年で4度目のスコアレスドロー(14.07.20)

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まず、この試合に影響を及ぼしたのは、荒天によるキックオフ時間の遅れだった。
臨戦態勢でウォーミングアップに入った両チームの選手たちにとって、この遅れによって、高ぶる気持ちを落ち着かせ、集中を一旦切り、そして1時間後に再度上げていくということは、難しい面があったはずだ。

その仕切り直しの集中力で上回ったのは仙台だった。1時間遅れのキックオフにもかかわらず、立ち上がりから鋭い出足で柏の攻撃を自分たちの守備の形にはめ込み、主導権を握る。
また、序盤の両チームの明暗を分けたものは、“狙いの違い”にもあった。「球が走らないシチュエーションでしたので、完全に割り切ってバックパスはなしで前を取ろう」(渡邉晋監督)という仙台が、パスを捨て、とにかくロングボールを蹴り込む戦い方を用いたのに対し、「前半から、下で繋いでいこうと入ったんですが、選手たちがピッチの状態に難しさを感じてしまった」(ネルシーニョ監督)と、パスワークで行きたいが、ピッチ状況を確認しながら手探りのスタートとなった柏。つまり、やることがはっきりしていた仙台と、恐る恐る試合を進める柏との間に、勢いの差が顕著に表れていた。

さらに新システムを敷く柏が仙台のサイド、特に右の太田吉彰、菅井直樹を、ウイングバックとボランチのどちらが捕まえるのかという点が曖昧で、マーキングのズレを引き起こし、上記した集中力や割り切った戦い方に加え、柏のサイドのズレを的確に突いたことで、より仙台の攻勢に拍車がかかった。11分には太田のクロスから、ファーサイドの八反田康平がヘッドで狙う決定機。これをGK菅野孝憲がセーブしDFがクリア、そしてそのこぼれ球を武井択也がピッチ状況を利用した低めの弾道のミドルシュートを狙う。30分過ぎまでは仙台ペースで試合が進んでいく。

この劣勢にネルシーニョ監督が動く。「左の大谷(秀和)と中央の(ハン)グギョンが、それぞれのセクションでの生産性が低かったので、大谷が普段やっている底のポジションで改善を促した。前半は左サイドのボールの動きが低かったので、(狩野)健太を入れた」と、ハーフタイムに中盤の並びを変え、選手の入れ替えを行うと、後半はピッチ状況の回復も手伝い、柏のパスが走り始める。一方の仙台は、前半の“割り切り”を後半も続けた。リスクを回避してロングボールを送るも、空中戦に強い柏の3バックに弾き返され、ラインが引いてしまったためにセカンドボールを拾えずに、自陣に押し込まれてしまう。

ただ、「あれだけボールを握られた中で、自陣でのオーガナイズは崩さずに、最後のところで体を張って、チャレンジ&カバーもはっきりして、0で切り抜けたのは我々の強みを表現できた」(渡邉監督)というように、仙台は最終ラインと中盤の2ラインがゴール前で分厚い壁を作り、「ロングボールを蹴って弾き返され、セカンドボールを拾われて押し込まれるのも仕方がない、サイドでクロスを上げられても、角田(誠)さんが強いから弾き返せる」(石川直樹)と、ゴール前でのブロックに全神経を費やした。
確かに柏はボールを保持するわりに、決定機は少なく、崩した形はほとんど作れなかった。好機を挙げるとすれば、78分の工藤壮人のポストプレーから橋本和のシュート、後半アディショナルタイムのカウンターで高山薫が抜け出た場面の2つぐらいか。ただ、橋本はシュートまで持っていけたが、高山は切り返したところで仙台DFにブロックされており、全体を通して仙台の守備の堅さ、粘り、集中力が、柏の攻撃を封じ込んだ試合だったと言える。

過去3年のリーグ戦での対戦結果は、1点差ゲームが3回、残る3試合は全てスコアレスドロー。したがって今回の0−0は、ある程度予測できた結果でもある。
だが、勝点1ずつを分け合ったとはいえ、割り切った戦い方で「アウェイで0−0の勝点1、悪くない結果」(石川)を手にした仙台と、キャンプ中に「引いた相手をどう攻略するか」をテーマに掲げながら、その成果を発揮できずに勝点1にとどまった柏。どちらの狙い通りに進んだゲームだったかと言われれば、それは間違いなく仙台の方だ。攻撃の問題点改善のためには、柏にはもう一工夫が求められる。

以上

2014.07.20 Reported by 鈴木潤
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