今節からリーグ戦は後半の戦いに入っていくが、今回ホームで戦う愛媛は現在15位。対する京都は10位となっている。どちらのチームも現時点ではプレーオフ圏内に届いておらず、ここからの巻き返しが必要だ。その反撃に備え、愛媛にはリカルド ロボが加入。この京都戦では早速ベンチに入りそうだが、石丸清隆監督の下で継続して積み上げてきたサッカーにアクセントを加えることで、愛媛はより高い位置を目指すことになる。一方の京都は第21節から川勝良一新監督が指揮を執る。その磐田戦では敗れたが、続く天皇杯では鳥取を下しており、愛媛とは違ったアプローチで後半戦に向けたチームの修正を図っている。

この両者は第９節に西京極で対戦しているが、その時はスコアレスドロー。しかし、上記の通り前回４月の対戦とは出場する選手だけでなく、チームの状況が変化していてあまり参考になりそうにない。京都は川勝監督が積極的に選手を入れ替えながら特徴を把握し、色を出そうとしていることもさることながら、愛媛も当時とは戦い方が若干違う。その点に関して石丸監督は「前半戦では３連勝（第13節から15節）もしたけれど、そこは結果にこだわってやったところがあった。確かに結果は出したけど、自分たちのサッカーはできず、チームとして積み上げることが難しかった」とし、さらに「京都戦に関しても、ある程度相手にボールを持たせるところは持たせるようにやっていた。でも、今は原点回帰というか、コンパクトにして自分たちから奪いに行くことをやっている」と語る。

その言葉通り、今の愛媛は攻守ともに前にいくことを強く意識したアグレッシブな戦いを続け、天皇杯を含めて公式戦は３連勝中。複数得点が続き、前回のホーム熊本戦では４得点、そして前節のアウェイ北九州戦では３得点と結果も出ている。もちろん、京都も現在15ゴールでリーグ得点王の大黒将志をはじめ、得点力のあるチーム。前期の西京極でのスコアレスドローも互いにチャンスが少なかったわけではないし、今回もスコアレスドローで終わることは想像しがたい。

さらに、どちらも守備に問題を抱えていることからも、そうした試合展開の予想になってくる。京都に関しては直近の失点を振り返ればクロスからの対応には修正が必要で、愛媛も林堂眞の負傷によりディフェンスラインの中央にハンヒフンが起用されているが、失点には結びつかないまでも連携の部分では不安なところも顔をのぞかせている。特に今節の京都には、大黒というJ2のレベルでは群を抜く動き出しのできるストライカーがいるだけに、愛媛は一瞬の連携ミスでゲームを決められかねない。それでも愛媛は結果を出し、試合を重ねながら後ろの安定感を増して勝点を積み上げていかなければならない状況に置かれている。

そこでもう一度リーグの状況に話を戻すが、現在の愛媛は勝点26の15位につけていることを再確認したい。石丸監督は「６位（福岡）と勝点６差は、近いようで差があると思っている。最終的にプレーオフに進むには、60点台の中くらいの勝点が必要になってくる」と認識しているが、それは昨季は勝点66で長崎がプレーオフに滑り込み、同じく松本が66で７位に終わったことからも理解できる。そこで愛媛にとって参考になるのは勝点67でプレーオフに進んだ徳島だ。徳島も今季の愛媛とちょうど同じ勝点26でシーズンを折り返したが、後半戦を12勝5分4敗で駆け抜けて悲願のJ1初昇格をつかんだ。徳島は折り返し地点で６位と８ポイントの勝点差があり、今季はより混戦になっているところはあるが、愛媛にもそれに匹敵する成績が必要だということだ。

「現実的にはかなり難しい状況にあるけれど、無理じゃない。今やっていることを積み上げられれば見えてくる」と、もちろん指揮官は諦めていない。愛媛の選手たちも西田剛が「上を叩けば、必然的に近づいていける。まだ団子状態だし、簡単に負けないことが大事」と語れば、河原和寿は「今の状態を続けるだけじゃなく、積み上げることが大事。そして、目指すのはあくまでもプレーオフ。いざプレーオフに絡める順位になった時に、そのプレッシャーの中でも戦えるように現状で最大限の努力をしたい」と強い意志を持って戦っている。これから更に厳しい戦いが待っていることを、百も承知で戦う愛媛のリーグ後半戦。そこに今の勢いを持ち込み、反撃の狼煙を上げられるか。日曜19時、楽しみなリーグ後半戦がいよいよ幕を開ける。

以上

2014.07.19 Reported by 近藤義博