J1リーグが約1ヶ月半の中断期間を経て再開する。一足先に、ACLを戦ったクラブ同士の未消化試合は行われたが、横一列に並んでのリスタートは今週末からだ。18クラブは、それぞれの現在地から、この中断期を利用して万全を期すチームもあれば、巻き返しの施策を練り上げたクラブもある。そして、選手各々も彼の地から悔しさを持ち帰った者もいれば、そこに届かなかった熱を温める選手もいる。ただし、共通して言えるのは、チームも、選手も、この試合で見せたい姿があるということだ。
F東京は19日、ホーム味の素スタジアムで鹿島と、その再開の日を迎える。この中断期に、ビルドアップに力を入れ、徹底した走り込みも敢行してきた。また、グループごとの連係確認も徹底され、組み合わせの見直しや、戦術の確認にも多くの時間を割いてきた。
先週末には、天皇杯2回戦でJ3のブラウブリッツ秋田を8-0で破り、この試合に向けて弾みをつける勝利を手にした。得点の内訳は、チーム得点王のエドゥーが2得点し、平山相太、渡邉千真のFW陣にも得点が生まれた。さらに河野広貴、三田啓貴の中盤もネットを揺らし、太田宏介が今季初のFK弾を挙げ、森重真人もミドルシュートを決めた。中でも昨年11月から公式戦ノーゴールが続いていた渡邉に得点が生まれたことは明るい話題だ。
そして、中断期に取り組んできたことをチームとして忠実に実践できたことも大きい。パスを回してボールを保持する時間をつくり、しっかりと前線からはプレスを仕掛けた。4-3-1-2から4-4-2へのシステム変更もスムーズであった。
マッシモ フィッカデンティ監督も上々の再スタートに「代表組、けが人も含め、多くの選手が戻ってきた。良いトレーニングが積めてきたし、チームとしても波に乗っている」と笑顔を浮かべた。
ただ一方で、実力差が明らかで、浮き彫りにならなかった課題も多く残されているのは事実だろう。鹿島のような相手の隙を見逃さないクラブと再開初戦で対戦することは、ある意味では今後の方策を探る上でも良いカードと言えるだろう。
さて、その鹿島だが、12日の天皇杯2回戦では、JFL所属のソニー仙台にまさかの敗戦を喫した。ハードなトレーニングの影響なのか、本来の鹿島からは、ほど遠い内容だったことは気がかりな点だ。他方、この試合に向けたモチベーションはそれによって上がっているはずだ。失態を取り戻そうと、相応のモチベーションでこの試合に臨んでくるはずだ。
両チームは今季、すでに3月19日のヤマザキナビスコカップで顔を合わせている。その試合は、F東京のフィッカデンティ監督が初めて試合開始から河野をトップ下に置き、4-3-1-2システムを採用した試合でもある。背番号「17」は指揮官の期待に応え、その試合で1得点1アシストを記録し、チームの中核を担う選手となっていた。
その河野は、「鹿島は良いチーム。ナビスコのときは、選手が入れ替わった中で、それぞれが自分のポジションを取りに行く気持ちでプレーした。それが良い結果に結びついた。リーグでは10位にいるが、正直、上も下もある。最初が大事。みんな気合いが入っているよ、もちろんオレも」と言う。
この夏、勝点を伸ばしたクラブが実りの秋を迎える。各クラブの勝負の夏が始まる。F東京は食らいついていけるか。
以上
2014.07.18 Reported by 馬場康平
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