J1リーグ戦再開の初戦を、クリムゾンフットボールクラブ10周年記念の“みどり”ユニフォームをまとって戦う神戸。人生初の緑色ユニでプレーする茂木弘人は「最初は似合うのかなぁと思ったけれど、みんな意外とイケてると思います」と笑顔を見せた。1週間前に天皇杯2回戦で関西学院大学(兵庫県代表)に敗れたモヤモヤから心機一転をはかる意味でも、“みどり”は一つの好材料と言えるかも知れない。
対戦相手の鳥栖は、リーグ前半戦を2位で折り返す強豪である。いきなり2位と4位が激突するビッグゲームとなったわけだが、直近の対戦(5月21日ヤマザキナビスコカップ予選リーグ)では神戸が3−2で白星を挙げている。試合終了間際に鳥栖の播戸竜二に2点を奪われたものの、終始ゲームの主導権を握ったのは神戸だった。だが、そのゲームでの鳥栖は、エース豊田陽平と金民友という攻撃のキーマンが不在。J1前半戦で8ゴール(得点ランキング3位)をマークしている豊田がいるか、いないかではゴール前のクオリティが変わってくるだけに、ヤマザキナビスコカップの勝敗はあまり参考にならないかも知れない。
豊田と名古屋時代にチームメイトだった神戸の増川隆洋は「トヨ(豊田)は、19、20歳の頃からジャンプ力がすごかったですし、ここ数年は点も取れている。成長したとも思いますけれど、鳥栖に行って彼のスタイルが合ったというのが大きいでしょうね。トヨが戦術になっている部分もあると思いますから」と言う。共にヤマザキナビスコカップの対戦では出場していないCB増川とFW豊田。豊田へのパスの供給源となる金民友や安田理大、水沼宏太らをどう抑えるかも含め、増川vs豊田のマッチアップは今節の一つのポイントと言ってもいいだろう。
とはいえ、神戸が鳥栖のストロングポイントを消すという戦い方をするとは考え難い。中断期間中も「課題を克服するというよりは、リーグ前半戦で良かった部分を伸ばす」(神戸・安達亮監督)方向で調整を続けて来たからだ。良かった部分の一つとしては、前半戦で川崎Fと並ぶJ1最多タイをマークした得点力(14試合で26ゴール)である。
現在、得点ランキング1位タイの9ゴールを挙げているペドロ ジュニオールと4位7ゴールのマルキーニョスへ、いかにして精度の高いラストパスを供給できるか。それに加え、エースナンバー13を背負う小川慶治朗をどう生かすかが一つのテーマになると予想される。攻撃陣にタクトを振る10番・森岡亮太は「鳥栖は前からガンガンに来ると思いますけれど、それを外してチャンスを作ることはできると思う。悪い形でボールを失うと押し込まれるので、できるだけ前に起点を作りたい」と話す。“豊田封じ”ではなく、あくまで神戸らしい攻撃サッカーを貫く構えのようだ。
歩行者信号の緑色は、横断可能を意味するカラーである。いわば“Goサイン”。記念ユニフォームの“みどり”をまとった神戸は、攻撃で2位の鳥栖を圧倒し、リーグ初制覇へ歩を進めるつもりだ。
以上
2014.07.18 Reported by 白井邦彦
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