ブラジルワールドカップのため約２ヶ月にわたって中断していたJ1リーグ戦が19日、再開する。この『中断期間』の捉え方はチームによって様々だが、前半戦で思うような結果を残せなかったチームにとっては、間違いなく、その流れを断ち切り、巻き返しを図るためのきっかけにしたいと考えているはず。今回対戦する、Ｇ大阪と甲府も然りだろう。加えて「どんな大会も“初戦”はすごく大事な試合。ここでどんな結果を残せるかがその後の明暗を分けるといっても過言ではない」とＧ大阪のFW宇佐美貴史が言うように、中断開け、最初の試合ということでも意義深い一戦となる。それぞれが『白星』という結果を求め、死力を尽くすはずだ。

１週間前に行われた天皇杯では、Ｇ大阪はツエーゲン金沢を、甲府は明治大学を破り、リーグ再開に弾みをつける『白星』を挙げている。その勢いがどんな形となってリーグ戦に表れるのかも楽しみだ。

Ｇ大阪は日本代表のMF遠藤保仁、DF今野泰幸がチームに戻り10日が過ぎた。J-GREENおよび岡山キャンプなどでチーム力を高めてきた中に、ワールドカップを戦い終えた彼らがすんなり戻れるかも注目ポイントだったが、天皇杯でのパフォーマンスを見る限り不安はなさそう。また新外国籍選手、FWパトリックも移籍から今日までの間に行われた２度の練習試合でゴールを挙げるなど早いフィットが伺える。つまりは戦術的にも、個々のフィジカルコンディションとしても、上々の状態でJ再開を迎えられそうだ。

注目はFW宇佐美貴史。開幕直前のケガで前半戦の殆どを離脱していた宇佐美だが、4月末に戦列復帰を果たして以降は試合を重ねるごとに確実に身体のキレを戻しており、かつ中断期間も「それを維持、向上させるため殆ど身体を休めることはなかった」と話す。それらは全て「チームをガラリと変えるため」。エースとしての責任を果たすためにも、自身が得点を挙げることでチームに『変化』をもたらす決意だ。
「よく『一人でサッカーは変えられない』と言うけど、僕は『一人で変えられるのがサッカー』と思っているし、それができなければ自分の存在価値がない。この中断期間中、チームとして取り組んできたガンバの攻撃の新しい『色』を出せる後半戦にしたいし、その中で僕自身も明確に『結果』を残したい」（宇佐美貴史）。

加えて、先に名前を挙げた元甲府のFWパトリックも楽しみな存在だ。G大阪への合流が7月2日だったことを考えれば、まだチーム戦術に完全に溶け込んだとは言い切れないが、「ガンバには遠藤や今野、宇佐美や二川(孝広)ら僕の動き出しにあわせて素晴らしいパスを出してくれる選手がいる」と本人も言うように、パスの“出し手”の質にも助けられ、彼がボールを触る回数は確実に増えている。FW宇佐美とコンビを組むMF倉田秋の好調を思えばこそ先発の可能性は低いが、途中出場となれば、既存の選手にはなかったスピード、高さを武器に攻撃に新しい彩りをもたらしてくれるに違いない。

「監督がチームにとってベストな選択をするので、僕がメンバーに入るかはまだ分からないが、個人的にはすごく出場したいと思っている。甲府は古巣だし、ガンバの一員として戦う最初の公式戦だし、息子・フェリペの３才の誕生日でもあるからね。ホーム戦だということを考えてもサポーターも大きな力を貸してくれるはずだし、出場となればもちろん、ゴールを決めたい」（パトリック）。
　　
甲府はヤマザキナビスコカップ予選リーグの戦いを終了後、２週間のオフを挟み6月12日に練習を再開。以降、短期間ながら静岡・御殿場キャンプを実施して結束力を高めつつ、週に１度の練習試合を戦いながら戦術理解を深めてきた。その中で戦った先週末の天皇杯２回戦、明治大学戦は攻守になかなか機能せず、1-0の辛勝となったものの「久しぶりの公式戦を90分戦えたこと、ジウシーニョのウイングバックを含め、新しいポジションで選手がどのくらい機能するか、どんな問題が出るかを確認できたのはよかった」と城福浩監督。そこからの１週間でどのくらい修正を図れたかも、今節の見どころの１つになるだろう。また前半戦の戦いを踏まえ、Ｇ大阪の選手の殆どが「守備の堅いチーム」だと警戒する通り、アウェイ戦となる中でＧ大阪の攻撃力をいかに封じ込められるかもカギ。順位こそＧ大阪の上位を走るものの、勝点差は、わずかに１と考えても、着実に勝点を積み上げることを目指す一戦になりそうだ。

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2014.07.18 Reported by 高村美砂