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【第94回天皇杯 2回戦 熊本 vs 山形】レポート:終盤の1点を守った山形が3回戦進出。熊本は改善の兆しは見せながら、リーグ戦も含めて4連敗(14.07.14)

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熊本、山形とも、1週間前のリーグ戦と同じシステムながら、それを構成する先発の顔ぶれには変化があった。熊本はGKを畑実から金井大樹に代え、またここまで守備的MFとしてプレーしてきた橋本拳人をセンターバックで起用、右のシャドーに負傷明けの仲間隼斗が入ったほか、左のワイドMFにはルーキーの上村周平が公式戦で初めての先発となった。
対して山形は、ディエゴを1トップに置き川西翔太をその下に配置、左サイドバックには今シーズン初出場となる小林亮、そして2列目の右で山崎雅人がそれぞれ先発に名を連ねるなど、第21節の東京V戦からは5人が入れ替わる構成である。

18時に始まった試合、まず流れをつかんだのは熊本だ。3分、大迫希のスローインを受けた上村が持ち込んでの右からのクロス。澤田崇のシュートは山形GK山岸範宏の正面をつく。15分には大きな展開で左から右へ揺さぶり、大迫のパスをうまくコントロールした仲間が右足で狙うがこれも山岸がストップ。さらに19分、左深くから片山奨典が折り返して最後は大外にいた大迫が低い弾道のシュートを放ったがポスト左に逸れる等、ゴールこそ奪えなかったが序盤から決定機を量産。主導権を握ったのは、前線からの執拗なプレッシングで山形に自由を与えず、また攻撃でも早いテンポでボールを動かすことができていたから。特に守備に関しては、この試合に向けて確認した、サイドで数的優位を作って奪う対応を徹底。小野剛監督も振り返った通り、橋本と園田拓也のセンターバックが適宜スライドしてスペースを埋めながら大迫と片山を押し出して、山形の前への圧力を抑え込むことに成功している。

こうした熊本のプレッシャーを受け、うまく組み立てながら運ぶことができなかった山形。しかし30分過ぎから、川西が落ちてはボールに絡み、そこへ左から伊東、右から山崎がスペースに顔を出し、少しずつリズムを作り始める。山田拓巳が足を痛めて担架で運び出されたのを受け、そのまま右サイドバックに入った當間建文が積極的に高い位置へ出てボールを引き出す場面も増え、バイタル付近でボールを受けたディエゴが遠目からミドルで狙った12分、18分など、それまで単発に終わっていた攻撃が徐々に噛み合うようになっていった。しかし34分のロメロ・フランクのシュートはバーを越え、宮阪政樹の無回転フリーキックのリフレクションから作り直した39分のディエゴのシュートも枠を捉えることはできない。シュート数は6本(熊本)と7本(山形)とほぼ互角ながら、決定機の数で言えば熊本の方が多い前半ではあった。

だが後半に入ると、前半30分以降の流れそのままに、山形が主導権を取り返した。石崎信弘監督のハーフタイムコメントにもある通り、意識したのは、「前を追い越すことと、サポートを増やすこと」(山崎)。前半に比べて熊本の選手間の距離が少しずつ離れていったことも影響して、間のスペースで受け、さらにそこから前を向ける場面が増えていく。52分にはロメロからのパスを受けた伊東、59分には當間からのボールを受けて運んだ川西、65分には宮阪のフリーキックに石井秀典と、中盤でのセカンドボール争いでも優位に立って押し込んだ。
熊本は55分に仲間に代えて原田拓、65分に上村に代えて巻誠一郎を送り出しているが、選手間の距離が開いていたためプレスをかけに行ってもはがされ、それによっていい状態で攻撃に切り替えられない展開に。そうした中でも何度か山形陣内に攻め込むのだが、せっかくバイタル付近まで運びながらもゴールへ向かう迫力が足りず、後半の45分間で放ったシュートはわずか2本に留まっている。小野監督が巻を投入したのには「90分でケリをつけるぞ」というメッセージが込められていたであろうし、またギリギリまで3枚目の交代カードを切らなかった(結果として失点後に澤田に代えて藤本主税を入れているが)のは、時間が経つにつれて延長戦のことも想定し始めていたからだろう。しかし87分、遂に均衡が破れる。

78分に「残りの時間の中でかなりの仕事をしてくれる」(石崎監督)との狙いで送り出されていた19歳の汰木康也が左サイドで小林からのボールを受け、ゴール前にふわりとしたクロスを送ると、合わせたのは山崎。これが決勝点となり、山形が3回戦進出を決めた。
石崎監督は「良かった部分と悪かった部分が見れた」と話しているが、「半分くらいメンバーが代わったけど、それでも戦えて勝てることを示せた」(小林)ことは、山形にとって小さくない収穫。また「90分でゲームが終われたこともリーグ戦につながる」(山崎)と、後半に向けて弾みをつける1勝だ。
熊本はリーグ戦も含めれば4連敗と厳しい結果に。しかし特に前半に関しては攻守両面で狙いとした試合運びはできていた。だからこそ、前半の決定機を確実に決め、また終盤の失点については「決して崩されたわけじゃない、足りてなかったわけじゃないからこそ、しっかりと守らなきゃいけなかった」(小野監督)。最近の試合ではいろんなことが起こりすぎて、うまく整理がついていない面もあろうが、第20節・愛媛戦から第21節・岐阜戦、そして第21節・岐阜戦からこの試合と、良かった時期のプレーは徐々に取り戻しつつある。来週の湘南戦(7/20@BMWス)から始まる後期、そうした時間を少しずつでも伸ばしながら、いちばんの良薬となる勝利という結果を自らの手でつかみとりたい。

以上

2014.07.14 Reported by 井芹貴志
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