3週間前にリーグ戦で対戦した両チームが、今週天皇杯2回戦で再び激突する。
「同じ相手に2度負けるわけにはいかない」(小澤司)と闘志を燃やしているのが水戸だ。ホームゲームにおいて、「どちらに転んでもおかしくない面白いゲーム」(柱谷哲二監督)を繰り広げながら水戸は後半に退場者を出して、力負けを喫した。一度は同点に追いつき、流れをつかみかけたゲームだっただけに悔やまれる敗戦だった。その悔しさを忘れている選手は誰もいない。「リベンジを果たす」(小澤)ことがこのゲームに向けての大きなモチベーションとなっている。
リーグ戦での対戦において、両チームの明暗を分けたものは選手層の厚さであった。当時、水戸はけが人が続出し、ベンチメンバーでコンディションが万全なフィールドプレーヤーは3人しかいなかった。体力的に苦しくなった中でもなかなか選手交代に踏み出すことができなかった一方、福岡は後半に入って積極的な采配でギアを上げることに成功した。決勝点を生みだしたのは平井将生と石津大介の途中出場のコンビ。当時のチーム力の差がそのまま結果に表れたのであった。
しかし、あれから3週間、水戸のチーム状態は明らかに変わっている。福岡戦以降けが人が続々と復帰。今週のトレーニングではほとんど別メニュー調整の選手がいない状態となっており、ポジション争いは激化している。それを感じさせたのは今週の紅白戦だ。主力組は前節横浜FC戦から大幅にメンバーが入れ替わることとなったものの、急造とは思えないほどの一体感があり、流動的な攻撃から多くのチャンスを作り出した。メンバーを入れ替える理由について柱谷監督は「出場機会の少ない選手にチャンスを与えることではない」と強調し、「現状でコンディションのいいベストのメンバーを選んだ」と説明した。
もはや「レギュラー」の座が安泰な選手は1人もいない。それは絶対的な守護神だった本間幸司でさえ例外ではない。激しいポジション争いがチームを強くしていく。そういう意味で水戸はやっとスタートラインに立つことができたと言えるだろう。リベンジを果たす準備は整った。3回戦進出を決め、ここからの巻き返しを宣言する一戦にしたい。
福岡も大幅にメンバーを入れ替えてくることが予想される。特に期待がかかるのがこれまで出場機会に恵まれなかった若手の活躍である。現在、福岡はリーグ戦で好調を維持しているが、後半戦を勝ち抜くためにもさらに選手層を厚くしなければならず、若手の台頭が必須である。そういう意味でこの試合が今後の福岡を占うと言っても過言ではないだろう。若い選手たちの高いモチベーションがチームに勢いを与えることができるか。注目の一戦である。
今節、水戸には「リベンジ」の他に大きなモチベーションを抱えている。2回戦で勝利すれば、3回戦で広島と対戦する可能性が高いのだ。そう、2年前に水戸から広島に移籍し、日本代表候補に選ばれるまでに成長を遂げた塩谷司と再会する絶好のチャンスなのである。前節横浜FC戦後、柱谷監督は「塩谷のいる広島と戦いたい」と語り、水戸でともに戦った小澤司は「天皇杯はシオと対戦できる唯一の機会。そのために目の前の相手を叩かないといけない」と力を込めた。その思いを抱いているのは選手だけではない。水戸に携わるすべての人が塩谷との再会を楽しみにしている。そのためにもこの一戦は絶対に勝たないといけないのだ。
柱谷監督はこう言い切る。「内容はどうでもいい。とにかく勝つ」。3回戦への切符をつかむためだけに水戸はすべてを出し切る。
以上
2014.07.12 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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