J1リーグ戦の中断期間に、マルコ ペッツァイオリ新監督が就任したＣ大阪。7月12日に迎える天皇杯2回戦が、新体制での初めての公式戦となる。相手は、三重県代表、三重県社会人リーグ1部に属するヴィアティン桑名だ。

前半戦での成績不振を受けて、6月9日にランコ ポポヴィッチ監督とヴラディッツァ グルイッチ ヘッドコーチとの契約を解除。激震が走ったなかで、再始動したＣ大阪。和歌山串本キャンプから合流した新指揮官ならびにカルステン ラキース ヘッドコーチのもと、そこからの約1カ月間、チーム再建の布石を打つべく、桜色の戦士たちはトレーニングに励んできた。6月末にはミャンマー代表との親善試合をミャンマーで行い、天皇杯1週間前には広島との非公開試合も実施。「すごくいい形で準備ができている」（扇原貴宏）と、ここまでの調整は順調のようだ。

「最初の試合をＣ大阪のホームスタジアムでできることをうれしく思う」とペッツァイオリ監督も言うように、キンチョウスタジアムでの初陣ということで、桜色のサポーターの援軍を受けての戦いは、心強いだろう。そのなかで、ホームお披露目の試合で、カテゴリーが下の相手に苦杯をなめることは、絶対に許されない。過去には、2009年度に当時東北社会人リーグの福島ユナイテッドFCに敗れた経験もあるＣ大阪。「僕自身もアマチュアのチームに何回か負けたことがあるし、厳しい試合も何回もやったので、もちろん相手をリスペクトして戦わなければならない」と言うう酒本憲幸は、「向こうはもちろんモチベーション高く来るので、試合の入り方を間違ったらやられると思うし、難しい試合になってしまう」と、チームはこの一戦に隙を見せることはまったくない。

ただ、エースの柿谷曜一朗のスイス・バーゼルへの完全移籍が決まり、2014FIFAワールドカップに出場していたフォルランもチームへまだ合流していないなか、彼らの穴を埋めるべく、新たに出番を得る選手たちや、前半戦で思うような結果を出せなかった選手たちの台頭には期待せずにはいられない。特に、杉本健勇、南野拓実ら、若き生え抜きアタッカーの爆発は、低迷打破に欠かせないだけに、天皇杯でどのようなプレーを見せるのか、注目だ。

一方、桑名について、公式サイトによると、チーム名のヴィアティンとは、オランダ語で「14」。桑名市の人口が14万人ということで、ホームタウンに住む地域の人々とともに歩む意味を込めて名付けられたとのこと。また、世界的なスーパースター、ヨハン・クライフがつけていた番号にも由来があるそうだ。
三重県初のJリーグ入りを目指して2012年に設立された桑名。この天皇杯では、同県のライバルである東海社会人リーグのFC鈴鹿ランポーレを三重県大会の決勝で延長戦の末に下し、クラブ創設3年目にして、うれしい本大会初出場。そして、1回戦では京都産業大学と再び延長戦にもつれる接戦を展開しながら、2-1と下して、J1クラブへの挑戦権を得た。チームの主軸は、太倉坐（ダ ソウザ）ドゥグラス。かつて山形などでのプレー経験もあり、今季から桑名に加入すると、鈴鹿戦、京産大戦でもゴールを決めるなど活躍。もともとはDF登録だが、193cmの長身を活かして前線でもプレーする。今年には日本国籍も取得した28番は、ジャイアントキリングを起こす鍵を握りそうだ。また、加藤秀典、和波智広、飛弾暁、坂井将吾、エフライン リンタロウといったJリーグ経験者がチームを牽引し、ナイジェリア人のジブリン、ジェロームという長身選手も在籍するなど、興味深い陣容が揃っている桑名。Ｃ大阪相手にどんな戦いを繰り広げるのか、楽しみは尽きない。

一発勝負のカップ戦は、何が起こるかふたを開けてみないとわからないもの。再起を期すJ1の若きタレント軍団と、新興チームの対戦となる今回、12日19時、キンチョウスタジアムでの一戦からは、目が離せない。

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2014.07.11 Reported by 前田敏勝