湘南がキックオフと同時にアクセルをふかすのは十分に承知していた。だが分かっていても止められなかった。それが湘南の強さだ。群馬は、首位湘南相手に善戦こそしたもののゴールを奪うことができずに0−1で屈した。
J2では先制したチームの勝率が圧倒的に高い。それならば力ずくで先制点を奪うことが、勝利への最短距離。湘南・曹貴裁監督はシンプルな理論を実行している。ラッシュ。湘南をホームに迎え撃った群馬は前半、そのラッシュに飲み込まれた。
失点は開始わずか4分だった。怒濤のプレスと連動した攻撃で「前」だけを狙う湘南に対して、群馬は手も足も出なかった。奪われた群馬はバイタルでウェリントンをフリーにすると、ゴール右隅へあっさりと流し込まれる。ウェリントンは「完全なミスキック。インステップで打とうとしたが、ダフってしまった。弱いシュートだったが入ってくれたのでラッキーだった」と振り返った。
群馬は前半、すべてのエリアで数的不利の状況を作られて完全に沈黙した。群馬は、湘南の3−4−3システムを真似て同じ布陣を採用。ミラーゲームで真っ向勝負を試みたが、それによって攻守のレベルの違いがはっきりとピッチ上に浮き彫りになった。とりわけサポート人数、切り替えのスピードの差は歴然だった。
後半、テンポを下げた湘南に対して、群馬はじわじわと反撃を試みる。ラインを高くしたことで、前線に孤立していたダニエル ロビーニョと宮崎泰右と、中盤が連動するようになり、敵陣深くまでボールを運ぶことが可能となる。そしてロビーニョが再三に渡りチャンスを迎えるが決定打がバーを叩くなど運にも見放され、最後までゴールネットを揺らすことができなかった。ロビーニョは「湘南は全員の判断とスピードが速く、難しい相手だった」と話した。
湘南はウェリントンのゴールを守り抜いて今季20勝目を挙げた。後半は、群馬の猛攻に晒されながらながらも、丸山祐市を中心とした気迫の守備で弾き返した。78分、群馬小林竜樹の抜け出しを果敢なタックルで止めた藤田征也のプレーも見逃せない。ウェリントンは「後半は押し込まれたがゲームは自分たちでコントロールできていた。この勝利に満足せずさらに上を目指す」と親指を立てた。
21戦20勝という圧倒的な強さで前半を折り返す曹貴裁監督は、「富士山には難易度別の4つのルートがあると聞いているが、我々は最も険しい道を選ぶ」とチームの歩むべき道を富士山登山に例えて説明。後半戦も妥協なきトレーニングと勝利へのあくなき執念で“頂上”を目指すことを誓った。
群馬は、前半と後半で別のチームとなった。後半は、ロビーニョ、宮崎、小林竜樹らが闘志あふれるプレーでチームを活気づけた。ただし、後半の内容が良かったからと言って、手放しでは喜べない。結果は敗戦で、湘南に打たれたシュートは計21本。撃ち合いを演じたとはいえウェリントン、武富孝介には計11本のシュートチャンスを与えた。決定力不足に助けられたため1−0で済んだが、大敗もありえる試合だった。群馬は、湘南戦で得た手応えと課題を後半へつなげる必要がある。
この日、群馬のゴール裏ではサポーターも戦った。前節後のトラブルでサポーター10人が処分された直後の試合だったが、この日のスタジアムからは新たな応援のカタチを創る気概が伝わってきた。クラブ、チームはいま必死に変わろうとしているが、サポーターも進化していく必要がある。群馬の躍進は、クラブ、チーム、サポーターが一体となって「ザスパ」の新たな魅力を生み出せるかにかかっている。
以上
2014.07.06 Reported by 伊藤寿学
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