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【J2:第20節 山形 vs 磐田】レポート:届きそうで遠い1点差。磐田の「地力」が山形を上回る。(14.06.29)

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シュート数を見れば、前半は11対3、後半は2対8。ハーフタイムを境に明らかに潮目が変わった試合のなかで、前半のチャンスを生かしきれなかった山形と、後半のチャンスをたった一度モノにした磐田の明暗が分かれた。「気持ちの部分でジュビロに対して自分たちがどれだけチャレンジしていけるか、そこが大きなポイント」と話していた山形・石崎信弘監督は試合後、「チャンスがあるときに点が取れなかった前半が痛かった」と振り返り、「(山形は)非常に失点数の少ないチームということで、必ず厳しい試合になると予想していました」と語った磐田・シャムスカ監督は「全体的なところでは我々が勝利にふさわしかったと思います」と試合を評した。

ここまで4-2-3-1で戦ってきた磐田は、ボランチの小林祐希がバイタルをケアしながらも高い位置を取る4-1-4-1でスタート。前節からポポとフェルジナンドを欠く布陣となったが、山形陣内では山崎亮平がドリブルでの仕掛けを主体に前田遼一や5試合ぶりの先発となった山田大記がシュートを狙うシーンも見られた。しかし、それ以上に山形の守備には集中力があった。「県民応援デー」で今季最多の1万2030人を集めたスタジアムはホームチームを後押しし、それに応えるように中央に入ってきたボールに厳しく寄せ、サイドへ展開されたボールにもバランスを崩すことなくスライドし、対応が多少遅れてもカバーし合う意識が全体に浸透していた。31分、磐田が左サイドをえぐり、山崎が戻し松井大輔がシュートモーションに入ったところで、松岡亮輔がブロックの体を寄せる一幕もあった。

一歩も引けを取らない山形は、返す刀で敵陣に切り込んだ。最初のビッグチャンスは8分、セカンドボールを拾いながら波状攻撃を仕掛けていたとき、伊東俊が、左サイドでくさびを受け、すでにオーバーラップで高い位置に張り出していた石川竜也に預けて自らは再び追い越してリターンを受け、中央でドリブルを開始。駒野友一にコース消されたが、タイミングよく顔を出した松岡に預けてさらにゴール前へ走り出した。ここで松岡が狙ったシュートは菅沼駿哉のブロックでコーナーキックにかわったが、14試合ぶりの先発復帰となった伊東がもっとも期待されるプレーを発揮した。伊東は自陣でも持ち味を発揮。山形は押し込まれ自陣でプレッシャーを受ける展開に苦しむことが多かったが、セカンドを拾ったあとに伊東が起点になるとディエゴなど前線の選手にしっかりと預けて自らも次の受け手として走りだし、何度かカウンターにつなげていた。

山形が前半で悔やまれるのは、前半で5本獲得したコーナーキック。特に33分から40分までに4本のコーナーキックを獲得し、さらにその間に2度のフリーキックとスローインも一度あった。36分にはスローインから秋葉勝が枠内にシュートを飛ばし、このプレーで得たコーナーキックでは、遅れてボックス内に入ったディエゴがフリーでシュートを放っている。ニアポストに向かったボールは宮崎智彦にクリアされた。

「相手ディフェンダーの裏のスペースをうまく使って攻撃していこう」と磐田・シャムスカ監督が送り出した後半開始直後、駒野から対角線深い位置にクロスが飛んだ。ヘッドで合わせた前田はゴールマウス方向に角度を変えて飛ばすことができず、ボールはそのままゴールラインを割ったが、52分にもが前田の頭へクロスを合わせている。前半より小林が引いてバイタルを閉じる一方、サイドを起点に早いタイミングで長めのボールを入れ始めていた。

「ちょっとしたズレだったり、セカンドボールを拾えなくなってきてたり」(秋葉)、「相手がうまくやってきたのかもしれないですけど、下でつなぐことができなくて」(伊東)、「一人一人の動く量が少しずつ減って、ちょっと動いて顔を出せばつなげる部分も動けなかったり」(山田拓巳)とピッチ内では山形の選手たちが前半には感じなかった不具合を感じていた。前線に起点がつくれなくなったことで、伊東に代えて投入したのは、昨年11月の怪我から復帰を果たした林陵平。しかし、その林も「中盤のところでボールを持って落ち着かせるというのがあまりなくて、センターバックとかキーパーからドカンというのしかないという感じ」といいボールが入らず、ようやく入っても十分なサポートが得られない状態が続いた。その後、山崎雅人、萬代宏樹の攻撃カードを切り、前線を2トップに変えるなどしても大きな変化は生まれなかった。

磐田の優位な状況がこの試合唯一の得点に結びついたのは75分だったが、その100秒ほど前から流れは始まっていた。前田に代えて出場した金園英学が強烈に潰された直後、自陣右サイドでボールをセットした松井は山崎亮平を狙い素早く逆サイドへボールを送る。対応した山田拓巳はヘッドでキーパーへのバックパスを試みるが、コースが外れてコールラインを割り、磐田のコーナーキックに。このミスを逃さず、直後にも左コーナーキックを得た磐田。ファーサイドへ流れたクリアボールを拾ったレフティの小林がシュート態勢を維持しながら横へドリブルし、山形の選手を引きつけたあと、手薄になった逆サイドで待つ駒野に正確なグラウンダーのラストパスを送った。「(小林)祐希が中にドリブルで来たときにこっちに来るという予感がありました。浮かさずに蹴れば入るというイメージがありましたし、イメージ通りです」。シュートコースは広くはなかったが、千載一遇のチャンスを逃がさず、左足から放たれた低く唸るシュートをゴールネットに突き刺した。

「敗因は地力の差」と話したのは松岡。「前半のうちに勢いを持っていけたのに、後半、地力に勝るチームというのはああやってしたたかに戦ってくるし、決めるべきところで決めるし、最終的には勝ちを持ってくる」。センターバックで前田と激しいマッチアップを演じたイ ジュヨンも「後半になって少し消耗していくうちに相手との差が少しずつ出てきたのかなと思います。こっちはミスからピンチを招いたというところで、少しずつのテクニックであったり、サッカーのうまさの差が出たのかなと思います」と別の表現で同様の感想を語った。前節、首位・湘南との対戦で感じた悔しい思いを、間違いなく磐田はこの一戦に生かした。山形は今季初の連勝の希望をまたも絶たれたが、シーズンはまた半分以上ある。「内容はそんなに悪くない。自信を失わずに、自信を持ってこれからもやっていけばいい内容は見せられると思うので、それに伴ってしっかり結果もついてくるように、しっかり戦っていきたいなと、前を向いていきたいなと思います」。明確な口調で、秋葉の言葉が響いた。

以上

2014.06.29 Reported by 佐藤円
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