両チーム合わせて7枚のイエローカードが飛び交い、さらに2名の退場者が出るなど荒れ模様の展開となったが、時間と共に攻撃と守備が速いテンポで入れ替わる、非常に面白いゲームとなった。
チームとして前へ攻めるサッカーが持ち味の水戸は前半からペースを掴む。最終ラインから素早いパス回しで前線へ一気に進むと、サイドへ展開するプレーを見せる。17分、右サイドのから小澤司のクロスに吉田眞紀人がヘディングシュート。またその4分後には、同じく小澤から今度はゴール前にいた三島康平に、速いグラウンダーのクロスを送るなど、積極的に攻める場面が多く見られた。
さらに33分には、讃岐の藤井航大がこの日2枚目の警告を受け退場となり、水戸にとって大きなチャンスを迎える。1人少ない讃岐に対し速い展開の攻撃はもちろん、セットプレーからも相手ゴールを脅かす場面が多く見られたが、最後のフィニッシュが決まらない。水戸の柱谷哲二監督は「アイディアが乏しかった。そういうのを含めてクオリティを高めて行かないと」と会見で語り、結局前半は無得点に終わる。
逆に讃岐は、相手のサイド攻撃や課題であったセットプレーに対しても粘りの守備を見せる。前線にいた西野泰正が最終ラインまで戻り必死の対応。西野は「ここで点を取られると厳しいと思ったが、10人になった時は本当にしんどかった」と、前半の激闘を振り返った。
そして後半、北野誠監督は「(1人少ないので)割り切って守って、カウンター狙いでやりました」と語り、シンプルなゲームプランに変更。守りではゴール前に人数を固め、クロスへの反応やチェックの確認、セカンドボールへの対応など、それぞれするべきプレーが明確となり選手もその動きに迷いは無かった。対する水戸も後半に入り、鈴木隆行、馬場賢治と次々と投入し得点を狙うも、集中力の切れない讃岐は得点を許さない。
さらに讃岐はその策が功を奏し、79分には後半から出場した関原凌河がカウンターを仕掛け、それを止めようとした水戸の広瀬陸斗がファウルを犯し、この試合2枚目の警告で退場。これで10対10と同じ人数になると、攻撃と守備が速いテンポで入れ替わる一進一退の攻防となる。讃岐は前半のシュート数は0だったが、カウンターやセットプレーなどから後半のシュートは6本と果敢に攻め、水戸も持ち味である前へ攻めるサッカーを継続するが、GK瀬口拓弥のファインセーブもあり得点を上げられず、結局0−0のスコアレスドローで試合終了となった。
柱谷監督は「最後まで体を張った讃岐のディフェンスが素晴らしかったと思います。途中うちも退場者を出してフラットになったので、勝点1はしょうがないかなと」振り返り、対する北野監督も、「(前の)2試合は自分たちのミスで負けた。今日を落とすと連敗街道というか、ズルズル行きそうだったので今日の試合はすごく大事だった」と、負けなかったという結果に両監督ともホッとした表情を見せた。
次節は共にアウェイでの戦いとなりリーグ戦の折り返しを迎える。後半戦の戦いに向け、それぞれのチームらしさが出た今節の戦いを継続し、それを勝利に結びつけるか。次節の戦いにも注目が集まる。
以上
2014.06.29 Reported by 小谷秀斗(オフィスひやあつ)
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