苦悩の日々に終止符が打たれた。想像もできなかったドラマチックなかたちで。富山は終了直前、ベテランMF朝日大輔が決勝点を挙げて1−0で長崎を下した。クラブワーストの連敗記録を9で止める10試合ぶりの勝利だ。
試合は0−0のまま終盤を迎え、富山、長崎が互いにカウンターを繰り出して激しい攻防を展開した。冷たい雨が降り続ける中での消耗戦だったが、両チームとも最後まで足先を伸ばしてボールを奪おうとし、何人もの選手が30m、40mをアップダウンして勝利への執念をみせた。
富山は「選手の表情をみて点を取りにいこうとする気持ちを感じた」と安間貴義監督が3人目の交代で81分に朝日を投入して勝負にでた。波状攻撃を仕掛けて次々とチャンスをつくる。83分にはFW白崎凌兵のスルーパス、85分にはMFソ ヨンドクのミドルシュートでゴールに迫った。90分にはDF高准翼のスルーパスから好機をつくり、白崎とMF中島翔哉が連続して狙ったがともに長崎GK大久保択生に阻まれる。アディショナルタイムにも白崎のミドルシュートのこぼれ球にDF木村勝太が詰めたが決められない。大久保が好セーブを連発して立ちはだかり、残り時間はわずかになった。
ラストプレーかと思われた富山の右CK。観客が祈るような気持ちで見つめる中、ペナルティーエリアの外にこぼれたボールを中央から朝日が狙った。グラウンダーのミドルシュートが混戦を抜けてゴール左隅で弾む。歓喜の瞬間が訪れた。残りワンプレーで長崎が左CKを得たが、これがクリアされて終了のホイッスルが鳴った。
勝敗はどちらに転んでもおかしくなかった。開始直後は富山がペースを握りかけたが、じきに長崎のプレッシャーに苦しむようになり、中盤でパスをカットされてカウンターで攻め込まれるように。しかし富山も「今日は対面の選手に負けないことが最も大事」(DF御厨貴文)と負けずに踏ん張り、両チームらしい局面で戦う熱っぽいゲームになった。
交互に攻め合う展開が後半も続いたが、先に決定機と呼べるチャンスをつくったのは長崎。58分に今月の加入後初先発のFW深井正樹がMF神崎大輔からのスルーパスで抜けてシュートを放つが上に外れる。69分にも左からのクロスにMF東浩史がDF裏で合わせたが、これも枠を捉えられなかった。
ボール奪取から一気に前に出ていく長崎の推進力は衰えず、富山の守りには1つのミスが致命傷になりかねない緊張感があった。GK飯田健巳は「チャンスで決め切れず、逆に失点するのが今季の負けパターン。今日は無失点に抑えられるようにDF陣としつこいぐらいに確認し合いながら進めた。全員が集中して守った結果の(開幕戦以来の)無失点なので自信になる」と振り返った。
試合内容からは富山が勝つべくして勝ったとまではいえない。しかし、試合を決めたのは朝日大輔であった。2009年のJリーグ初勝利時の決勝点も挙げているJFL時代からの生え抜き。チームに対する強い責任感を胸に秘める。選手全員が勝利に値するプレーをし、最後に彼が決めた。クラブ史とサポーターの記憶に刻まれるであろうこの勝利の必然性を感じざるを得ない。この夜、カターレ富山が復活した。
以上
2014.06.29 Reported by 赤壁逸朗
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