試合前日の練習。柱谷幸一監督(北九州)は輪になった選手を前に「責任を持って一人一人がやるしかない。上を目指してしっかり」と激励した。松本、千葉、湘南という難敵続きの3連戦の只中にある北九州。松本からは白星を得たが歩みを止めてはならない――。そういう危機感とも期待感とも言える高揚がチームをゆるやかに包んでいる。
今節は4位北九州と8位千葉の「イエローダービー」。そう表現するには歴史は浅いが、上位対決として注目も浴びるゲームだ。
対戦相手の千葉は前節・京都戦で3得点。ゴール数ランキングで5位に付けているケンペスが2得点を挙げその個の能力を見せつけたほか、セットプレーを絡めたゴールで白星へと繋げチームとしてのオプションの多彩さも示した。ただやはり中心となるのはケンペス。北九州のセンターバック・渡邉将基は「クロスからの入りがいい。体を寄せるとか、入る前の駆け引きとかで対応していきたい」と対策に集中。柱谷監督も「サイドからのクロスは右も左もあるのでしっかり抑えたい」と話し、ケンペス個人への対応のほか、供給源への早めのアプローチを選手たちに促した。
もう一つのポイントは堅守。ボールホルダーへアプローチする判断の速さや組織的なブロックに揺るぎなく、最近5試合で1失点の高い守備力がリズムのある攻撃の下支えにもなっている。
北九州としてはその千葉ディフェンスをどうすり抜けてゴールへと結びつけるか、攻撃陣のアイデアが試される試合となる。前節・松本戦では流れを引き寄せきることはできなかったが、原一樹が前のめりになっていた相手GKの動きを読んだ巧みなループシュートで得点を挙げ勝点3を呼び込んだ。崩しきれずともアイデアがあればブロックのわずかなほつれでも得点できる、そういう可能性を与えたゴールでもあった。
北九州もグループディフェンスが効いているチームのひとつであり、ゲームとしてもしっかりとした守備から入ることになるだろう。もっとも勝利への近道は原らのアイデアとチームとしてのビルドアップをミックスさせて得点を「重ねる」こと。一発のあるケンペスが相手。先制できたとしても1点で勝点3を引き寄せてくることは容易ではない。「ビルドアップのところをしっかりやってチャンスの回数を増やさないといけない。2点以上を取るゲームを増やさないと」と柱谷監督。ボールが経由するボランチの風間宏希も「回せるところはしっかりやって集中を切らさずにやりたい。強い相手とやって勝つことでチームとして成長できる試合になる」と意気込んでいる。
多くの選手が絡んだビルドアップと前線のアイデアで北九州が複数得点を呼び込めるか。はたまた個の力を生かして千葉が攻撃力を発揮させるか。個性ある攻撃にも注目して試合を見届けたい。
ところで。千葉戦といえば雨――という印象を少なくとも私は拭いきれていないが、やはり過去の本城でのゲームは4戦中2戦が雨。その確率50パーセント。今週土曜日も梅雨どきのため雨の心配が全くないわけではないが・・・なんとか持ってくれるのではないかと思う。もっとも本城の整えられたピッチは仮に雨でも水たまりができることはなく、ボールが伸びやすくなるだけ。それはリズム良く攻め込みたい北九州にとってはプラス要素とも言える。「いいピッチを整えてくれているので雨だからという心配はない。あとは雨になると来場者数のほうが心配ですね…」とは指揮官。土曜日のナイトゲーム。いちおう雨合羽を持ち、ゴールシーンを期して足を運びたい。
以上
2014.06.20 Reported by 上田真之介
J’s GOALニュース
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