ブラジルワールドカップの熱狂最 中に開催されるこの第19節。札幌市にある厚別公園競技場では現在勝点21で15位につける札幌と、同5で22位の富山が対戦する。昨シーズンは1勝1敗というカードである。
ホームの札幌は前節、敵地で横浜FCと対戦して2−2のスコアでドロー。前半途中に先制点を奪われながらもそこからパウロン、荒野拓馬のゴールで逆転に成功。そのまま逃げ切りにも成功・・・かと思われた後半アディショナルタイムに強烈なミドルシュートを叩き込まれ、同点に追いつかれる悔しい結末となってしまった。
「リードしてからの時間帯はチーム全体としての意思統一ができていなかった」と宮澤裕樹は悔しがる。勝負を決定づける3点目を奪えそうな気配もありながらも、その意識を高めすぎるとカウンターを受けるリスクも高まる。そうしたどっちつかずの難しいシチュエーションになっていながら、なんとかタイスコアのままタイムアップ寸前まで時計の針を進めることができていたが、最後の最後でやられてしまった。
ただし前出の宮澤はこうも振り返る。「先制点を奪われても、そこから勢いを落とすことなく逆転をすることができた。その部分はプラスにしていきたい」。そう、今シーズンの札幌は先制点を奪われると、本来であればビハインドを跳ね返すべく勢いづかなければいけないのだが、逆に低調になってしまうケースが多かった。だが、この前節では先制点を奪われてからも高い意欲で相手ゴールに迫っていったのである。
同じドローゲームでも福岡戦(16節 △1−1)のように終了間際に追いつくとポジティブな印象があるが、逆に追いつかれるとネガティブな印象となりがち。同じ勝点1ではありながらも、心理的にはそうした差は生まれてしまう。だが、だからこそこの宮澤のようにしっかりとその中身を踏まえ、ポジティブな要素を見つけていく必要があるし、それができているのだからいい形でこの試合に挑めるはずだ。
一方、初夏の北海道に乗り込む富山の前節はホームで水戸と対戦して0−3で敗戦。後半途中まではほぼ互角、いや、むしろ押し込む時間帯がありながらも決定機を生かすことができず。逆に70分に先制点を許すと、そこから逆転を目指して前がかりになったところを逆襲され、たて続けに失点。結局、3点差をつけられての完敗となってしまった。そしてチームは8連敗となった。
8連敗目を喫した試合が0−3の敗戦とあって、富山の戦いぶりというのは、大雑把に言えばかなりの低迷をしていると見える。順位も最下位だし、成績面を見るとそう言わざるを得ない。しかし、である。試合の内容を見ていくと、このチームが最下位にいるとは思えない局面は非常に多い。パス交換にはスピードがあるし、クロスの回数もシュート本数も悪いものではない。水戸戦にしても、決定機をしっかりモノにしていれば逆に圧勝していた可能性だって大いにあったはずだ。
チームを束ねる安間貴義監督もこう口にしている。
「決定機も作っており、22位とは思えないゲームをしている、と言われることは少なくない」。そのうえでこのようにも続けた。「流れのないところで失点し、決めるべきところで得点できない。勝負の勘どころ、際の部分でゆるいところが出てしまっている」。
要するに、肝心なところで相手を上回ることができていないということなのだろう。サッカーは得点数を競う戦いであることを考えても、両ゴール前での質というのが一番大事なところであるため、そこを欠いていることが最下位にいる要因だということか。しかしながら、安間監督が周囲から寄せられている言葉の通り、チームのパフォーマンスと成績が直結しているとは思えない。ちょっとしたきっかけが、一気に流れを変えることも大いにあるわけで、そのきっかけを懸命に探している最中なのだろう。もしかしたら、この試合がそれになるのかもしれない。
さて、そんな両チームの対戦だが、焦点となりそうなのは球際、そして両ゴール前でのリアリズムだろう。8連敗中で最下位と前述しているため、富山のほうばかりが苦しい印象を受けるかもしれないが、対する札幌も直近の10戦で僅か1勝という状況である。J1昇格を目指して挑んでいることを考えても、こちらも同じように苦しい。そうして迎えるホームゲームだけに、とにかくまずは勝点3を奪ってリズムを整えたいのが正直なところだろう。そしてもちろん、富山も連敗を絶対的に止めたいタイミングなだけに、ボールの奪い合いそしてゴール前のシビアなバトルは緊迫感のある、熱いものになるはずだ。
以上
2014.06.20 Reported by 斉藤宏則
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