岡山は前節、愛媛と対戦し、3−2で勝利した。前半だけで3点リードしながら、後半2点返されたことで、試合後は「勝った後の雰囲気ではなかった」と後藤圭太。田所諒は、「リードしてから戦い方を変える(というような器用な)ことは出来ない。気持ちを落とさないことの方が大切」と話す。しかし、前半に生まれた3つのゴールは素晴らしかった。1点目は上田康太がPKを落ち着いて決め、2点目は先制点から2分後、三村真からのクロスに、ゴール前に入っていた田中奏一が合わせた。「(前々節の)松本戦の時、中に人数が少ないことを感じて、それから意識していた」と田中。「ずっと狙っていた形からアシスト出来た」と三村。そして3点目はスローインから上田が、裏に動き出す片山瑛一に絶妙のパス。受けた片山はトラップして素早くシュート。「その前の時間までギャップで受けたり、落ちて足元で受けることが多く、DFも前掛かりになっていたと思う。そこで康太(上田)君がフリーで前向きにボールを持って、動き出したら最高のボールが来たので、落ち着いて決めるだけでした。トラップからの速いシュートは意識して、自分の中でテンポを作ることが出来た」と片山。「あそこにピンポイントで、あのタイミングで蹴れるのは康太君しかいない」(林容平)と言われる上田本人は、「常に危険なところを狙ってくれていると感じるので、見逃さないようにしたい」と話す。
今節、岡山がホームに迎える横浜FCは、前節・札幌と対戦。後半アディショナルタイムに黒津勝のゴールで同点に追いつき、引き分けている。先制しながら逆転を許す展開だったが、執念で決めた同点ゴールはチームに力を与えているはずだ。このゲームでは過去2試合続けた黒津の1トップから、黒津とパク ソンホの2トップに変更し、ターゲットを増やすことで攻撃の活性化を図った。左SBには怪我から復帰したばかりの中島崇典が9試合ぶりに先発出場し、先制点は狙い通りにサイドを起点として、中島のクロスからパク ソンホが決めた。また高い位置でボールを奪う意識も高まり、結果としてシュート数も第17節・長崎戦の2本から、札幌戦は8本に増やした。サイドには突破能力の高い寺田紳一、前節途中出場でチャンスを作り出した飯尾一慶、スピードのある小池純輝らがいて、決定機のペナルティーエリア内の人数も揃い始めている。
岡山は、寺田、黒津の個で打開できる能力と、経験豊富なボランチ・松下裕樹の中盤の構成力を警戒する。岡山・影山雅永監督は、「動かして崩しにくる横浜FCに対して、どう奪って出て行くかがポイントとなる」と話す。前節・愛媛戦で、本来はFWの久木田紳吾が最終ライン右に入ったが、「どっしり構えて跳ね返すタイプではなく、機動力を生かして、相手からボールを奪っていくのが自分の特徴だと思う。基本を意識して、落ち着いてやっていきたい」と話している。また後藤圭太は、松本戦からGKが真子秀徳になり、また最終ラインのメンバーが入れ替わったことについて、「松本戦よりも愛媛戦の方が、手応えを感じた。これは失点したことよりも大切なことだと思うので、クオリティを上げて行こうと話している」と明かした。前線の選手は、「3人がいい距離感を保ってパスを回せれば、点は取れる。それ以前にハードワークが求められると思う」と清水慎太郎。石原崇兆は「狙い所を決めて取りに行くのもいい」と、強い気持ちを感じさせるコメントをしている。岡山と横浜FC、ハードに奪い、自分たちらしい形でゴールを狙いに行く準備は整っている。
以上
2014.06.20 Reported by 尾原千明
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