ホームで勝てない横浜FCとアウェイで勝てない札幌の対戦。結果は2-2の引き分けと上昇に必要な勝点3を奪うことはできなかったが、逆転、そしてアディショナルタイムでの同点弾と、「ここで絶対に終わらない」という執念の見えたゲームとなった。
横浜FCは黒津勝と、前節今季初ゴールを挙げたパク ソンホの2トップに変更。札幌は2試合ぶりに上里一将が復帰。試合は、立ち上がり最初のプレーでの都倉賢のシュートを皮切りに、両チームとも前を向いた展開となる。札幌が横浜FCの裏のスペースへのロングパスを多用し、横浜FCも細かくパスをつなぐだけでなくパクと黒津を早めに意識する展開となる。一方で、中盤の地上戦では、横浜FCの松下年宏、安英学、札幌の河合竜二、上里の両ダブルボランチを中心に局面で激しいつぶし合いの展開となる。
立ち上がりからの札幌の強いプレッシャーが一段落となった33分、横浜FCに先制点が生まれる。松下のサイドチェンジから、寺田紳一が落とし、中島崇典がアーリークロス。そのボールにパクがヘッドで合わせる。流れるような展開で先制点。そして、前半はそのまま1-0で終了する。
「後半も、前半からやっていることを引き続き、落ち着いてやろう」という札幌・財前監督の言葉通り、少しスペースが空き始める中、前半と同様の札幌サポーターの大声援うぃ受けて後半は徐々に札幌がイニシアティブを取り始める。そして、52分、ドウグラスが与えたFKは、上里が蹴ったファーサイドへのボールをパウロンが高い打点でたたき込む。同点に追いつくと、勢いは札幌に加速していく。そして、64分に砂川誠を入れた2分後の66分、横浜FCが黒津に入れたパスを収められないと、札幌がボール奪取し宮澤裕樹から都倉へ。そして都倉のシュートのこぼれ球を荒野拓馬が押し込み逆転に成功する。
横浜FCは、松下を高い位置に上げるとともに76分に飯尾一慶を投入、83分には小池純輝を投入し3バックにすると、ようやく攻撃にスイッチが入る。そして、このスイッチオンにニッパツ三ツ沢球技場の雰囲気もようやく好循環に入る。
その好循環がアディショナルタイムに結実。飯尾と小池の右サイドでのパス交換からボールはフリーになった黒津に。その黒津が必殺の左足を振り抜き、見事に逆側のサイドネットにシュートを突き刺して同点に。最後のプレーでは三ツ沢の声援を背後に小池がシュートを放つが、これは枠を外して試合は終了。両チームともミスも目立った試合だったが、勝点3に向けてあきらめない執念を感じた試合だった。
横浜FCにとっては、先制までの流れは良かったが、そのリードがありながら相手の流れの時間に逆転を喫したことは、勝ち慣れていないチームとしては乗り越えていかなければいけない課題だ。「今週の練習で、パスコースは開けておいていいから特に人に行こうということでやっている中で、今までの試合と比べると特に前半は高い位置で人に行ってボールは奪えていた」と寺田が述べるように、チームとしての守備の考え方をステップアップさせているところだけに、早く成熟させていきたい。ただ、選手交代後の最後の15分の執念は、前の試合までスタジアムに存在する失点をしたときに流れていたネガティブな雰囲気から考えると、意地と地力を見せられたのではないだろうか。コンパクトで臨場感あふれるニッパツ三ツ沢球技場は、プラスにもマイナスにもフィードバックが強く掛かるスタジアムだ。だからこそ、この最後の15分の内容を今後の試合で増やしていけるか。それが今シーズンの最後を決めていくだろう。この「好循環」の萌芽を大事にしたい。
札幌にとっては、上里の復帰でチームの戦い方に幅が広がったことが確認できた試合。だからこそ、最後の最後で勝点2を失った形になったことは残念な試合となった。ただ、今まで結果が残せていないアウェイで、横浜FCのゴール裏を凌駕する人数の声援を背景に逆転まで結びつけたことは、今後につながるはず。その流れを今後も大事にしたい。
今行われているワールドカップも攻撃的な試合が多いが、ニッパツ三ツ沢球技場で繰り広げられたこの試合も、前への執念をむき出しにした試合だった。この姿勢は、必ず先に繋がる。世界的なサッカーの季節の熱を横浜でも感じられる試合だった。
以上
2014.06.15 Reported by 松尾真一郎
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