下を見る時間は終わった。前節敵地で愛媛を粉砕した18位群馬がホームに12位熊本を迎えて今季２度目の連勝を狙う。熊本の５勝を上回る６勝を挙げている群馬だが３節で連勝を決めて以来、白星を並べることができていない。中位追撃を視野に入れる群馬は、上位進出を狙う熊本を返り撃ちにして新たな道を切り拓きたい。群馬が狙うのは勝利のみ。過去３度、連勝チャレンジに失敗してきたチームは、今ゲームを進撃の布石とすべく決戦へと挑む。

秋葉忠宏監督は、前節愛媛戦前に選手たちへこう問いかけた。「プレーオフ圏内６位との勝点差は10、21位讃岐との勝点差も10。上へ行くのも下へ落ちるのも同じ距離。お前たちはどちらをみて闘うのか？」。選手たちは一様に「上」と答えたという。指揮官の熱い問いかけに応じた選手たちは愛媛戦で２−０と快勝して再びホームへと戻ってきた。
エース平繁龍一とポストプレーヤー・エデルがケガで長期離脱した４月以降、苦しい戦いを強いられてきた群馬だが、結果が出ない中でも選手は成長を続けてきた。４月から５月に６連敗を喫したチームだが、それ以降は粘り強いゲームを演じて連敗脱出後は３勝１分２敗。良いゲームと悪いゲームのギャップが激しく、チームに２面性こそあるもののチーム力は確実にアップしている。秋葉監督は「チームに地力はついてきているので、あとはゲーム内容のアベレージを上げていけなければいけない」と選手を鼓舞している。

群馬のキーマンとなっているのは左サイドで頭角を現しつつある瀬川和樹だ。重心の低いドリブルと、独特の回転がかかったクロスで群馬のチャンスを演出。前節愛媛戦では果敢なオーバラップから豪快な先制ゴールを突き刺してみせた。今季は開幕からスタメンで起用されてここまで16試合に出場し２ゴール３アシスト。もはやチームに欠かせない存在だ。「この結果に満足せず10得点10アシストを目指す」（瀬川）。群馬は左サイドの核弾頭をフロントラインに押し出して、勝点３を奪いに出る。

対する熊本は、リーグトップの８分を誇る引き分け王だ。白星は群馬より一つ少ないものの勝点１を積み上げて12位につけている。９節以降の９試合は１勝７分１敗。前々節富山戦では８試合ぶりの勝利を挙げたが、前節北九州戦は再びドロー。勝点３を奪い切れないもどかしさはあるものの、勝点１を拾う粘り強さも持ち合わせている。今節はボランチ養父雄仁が警告累積で出場停止。今季全試合に出場していた背番号10の不在がどう影響するか。熊本としては先制点の行方がゲームを左右する要素となりそうだ。

群馬は、熊本に対して４試合連続負けなし。昨季はホーム＆アウェイで勝利を収めて２勝を稼がせてもらっている。群馬にとって熊本は相性の良いチーム。この試合を起点として上昇気流に乗りたいところ。昨季終盤、期限付きで熊本に在籍した青木良太は「暑さもあるし90分間全部をラン＆ガンで突っ走るのは現実的に難しい。選手一人ひとりがゲームの流れを感じてコントロールしていく必要がある。ここで勝てればチームは変われる」と古巣熊本戦へ臨む。３節以来、約３カ月ぶりの連勝をサポーターへ届けることが群馬のタスクだ。

以上

2014.06.13 Reported by 伊藤寿学