3勝3分と6試合負けなし、3試合連続無失点で前節(第17節)の福岡戦を迎えた千葉だが、結果は0−1の敗戦。無得点に終わった一因はイージーミスの多発だ。前述の3勝の相手の群馬、札幌、愛媛に比べると福岡は前からのプレスが厳しかったが、それほど強くプレッシャーがかかっていなくてもパスミスや判断ミスが目立ち、攻撃のリズムが作れなかった。さらにサイドハーフの谷澤達也と井出遥也がボールを持った時には、福岡は時には2人で挟み込むようにして対応。それならば中央で起点を作って仕掛けたかったが、イージーミスに加えて福岡の素早いアプローチもあって形が作れない。
40分、千葉の右サイドにオーバーラップした福岡のセンターバック・堤俊輔のクロスから、ファーサイドの金森健志にヘディングシュートを決められて失点。74分には福岡の守備の要の古賀正紘が山中亮輔へのファウルで退場処分となるが、福岡は守備の意識をより高めて5バック気味にゴール前を固め、千葉は猛攻を仕掛けるも最後までプレーの精度とアイデアを欠いた。
相手が千葉のキーマンを潰しにかかって得意な攻撃の形を封じてきた時にどうするか。相手の対応策を上回るテクニックやスピードが出せないのであれば、違った形の攻撃が必要だが、千葉はバリエーションが少ない。また、パス回しで相手の守備を崩しきれない時ほどミドルシュートを積極的に狙うべきと思われるが、福岡戦では相手のプレスが緩んだ後半はともかく前半は少なかった。終盤には何回かサイドを突くことができたが、複数の選手に囲まれていた森本貴幸にパスを出してカットされたり、クロスを単調に入れる形が続いたりと的確な状況判断やゴール前での一工夫ができなかった。個人として状況に応じたプレーを選択し、それをどれだけ正確にできるか。チームとしてフィニッシュまでの形のイメージを選手間で共有して実践できるか。今節もそれが攻撃のポイントになりそうだ。
3連勝のあとに水戸戦(1−5)、群馬戦(0−3)、岐阜戦(1−2)と3連敗した京都だが、前節は東京Vを相手に1−0と勝利を収めた。複数失点が続いていたこともあってリスクを冒した思い切った攻撃が少ないため、前半はいい形でフィニッシュまで持ちこむことがなかなかできなかった。後半はパスをつなぎやすいように前線のポジショニングを修正。それでも『1点』が遠かったが、87分に交代出場の横谷繁のミドルシュートがクロスバーに当たった後のこぼれ球をつなぎ、負傷欠場していて交代出場だった三平和司が頭で押し込んで決勝ゴール。東京Vのミスに助けられもしたが、ピンチにはGKのオ スンフンがファインセーブを見せるなど粘り強く戦い、無失点と守備でも結果を出した。
京都はディフェンスラインを高く設定し、その選手間に入る縦パスへのケアが遅れがちな傾向があるため、千葉は背後のスペースを突いて得点機を作りたい。千葉がサイドを崩すことに意識が行きすぎ、手数をかけてしまうと京都の守備陣を楽にさせてしまう。前節のような判断ミスとパスミスでの自滅は避けたい。また、守備では体勢が崩れてもシュートを打ちきれる大黒将志へ簡単にボールを入れさせない対応が必要だ。バドゥ新監督が率いる京都はショートパスをつなぐことが多かった昨季までとは違い、大きな展開の攻撃も見せる。前節の失点シーンのようにボールホルダーからファーサイドに展開された時、縦に速くボールを入れられた時、相手選手のマークが甘くならないようにすることが重要だ。
2季連続でJ1昇格プレーオフで悔し涙を流した両チームと前節終了時でJ1自動昇格圏内の2位磐田、磐田と同勝点で3位松本との勝点差は、京都が8で千葉は10。特に千葉は勝点差も大きいが、その間にいるクラブの数を考えると道程は非常に厳しい。J1昇格は勝点を地道に積み重ねていくしか方法はないだけに、まずは今節で勝点3を得たい。
以上
2014.06.13 Reported by 赤沼圭子
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