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【J2:第17節 福岡 vs 千葉】レポート:アグレッシブさと粘り強さで手に入れた勝利。チーム、そしてスタジアム一丸で戦った福岡が千葉を下す。(14.06.08)

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提示されたアディショナルタイムは5分。10人での戦いを強いられる福岡には長い時間のように思われた。だが選手たちは集中力をなくさない。最終ラインに5人を並べて前へ人数をかける千葉にマンマーク気味に付き、その中央に堤俊輔が余って、こぼれ球を掃除していく。そんな選手たちを後押しするかのように、どこからともなく手拍子が起こる。それは、1人、また1人と広がって、その音を大きくしながらスタジアムを包み込むと、やがて大きなうねりとなって選手たちに最後の力を与える。そして、手元の時計が5分を経過したと同時に試合終了を告げるホイッスルが鳴る。坂田大輔、城後寿、武田英二郎の欠場。古賀正紘の途中退場。福岡はいくつもの困難を乗り越えて、4試合ぶりの勝利を手にした。

「山形戦のような試合をしないこと。札幌戦のような試合をすること」。試合前、千葉戦に向けてのポイントを報道陣に尋ねられると、マリヤン プシュニク監督は、そう答えていた。そしてこの日、選手たちは札幌戦と同様にアグレッシブなサッカーを展開した。スタートは、金森健志、酒井宣福、石津大介らの高い位置でのプレッシングから。それに連動してコンパクトな陣形を保って、ボールホルダーに圧力をかけていく。千葉も、福岡の戦い方は頭に入っていたはずだが、そのアグレッシブさに戸惑いは隠しきれず、パスを思うように回せない。

千葉にしてみれば、自分たちのストロングポイントである左サイドを活用して活路を見出したかったところだが、福岡のハイプレスの前にボランチが前を向いてプレーできず、また、谷澤達也にボールが入っても、三島勇太、中原秀人、イ グァンソンが連携して素早くつぶしにかかるため、中村太亮はオーバーラップのタイミングが掴めない。そして40分、福岡が試合の流れのままに先制点を奪う。ペナルティエリア付近まで上がってきていた阿部巧がボールキープから左へ展開。堤俊輔がアーリークロスを上げると、ディフェンダーの背後のスペースに金森健志が長い距離を走って飛び込んでいく。そして、ドンピシャリのタイミングで合わせたヘディングシュートが鮮やかにゴールネットを揺らした。

後半に入ると、福岡のプレスがやや緩んだこともあり、少しずつ、少しずつ、千葉の特長であるサイドアタックが機能し始める。だが、福岡は決して崩れない。「クロスを上げられても最後のところはやらせないという基本的なところはできていたし、自分たちの流れではない時にしっかりと我慢して、また自分たちのリズムになったら、ボールを回して前へ運ぼうと、試合前に話していた」とは堤。ブロックを作って千葉にラストサードへの侵入を許さず、千葉の攻撃がひと段落した頃には、再び前へボールを運び始めた。ここまでは、すべてがプラン通りの戦い方だった。

そんな福岡をアクシデントが襲ったのは74分。古賀正紘のプレーが得点機会阻止と判断されて一発レッド。アディショナルタイムも含めれば約20分間を10人で戦うことを強いられた。ところが、ここでも福岡はこれまでとは違った顔を見せる。いつもならズルズルと下がってしまうところだが、守りを固めて千葉の侵入を防ぐだけではなく、スペースを見つけると、奪ったボールをしっかりと前へ運んで千葉の攻撃のリズムを寸断していく。「中盤のところと、アタッキングサードにかかったところでイージーミスが多く、増幅するような形でのテンポにならなかった」(鈴木惇監督・千葉)。千葉が90分間にわたってミスが多かったのは、福岡が守りを固めながらも、前へ持ちだすという意識を失わなかったことも影響していた。

思うように勝てない時期に少しずつ、少しずつ、変化を見せていた福岡は、この日、その変化を勝利に結びつけた。上位陣との対戦が続くなか、福岡にとっては大きな弾みになる1勝だったと言えるだろう。しかし、それも続けてこそ意味が生まれる。大切なことは、次の試合でも変わらぬ戦い方をすることだ。そして、次の試合が大切なのは千葉も変わらない。混戦模様のリーグ戦で生き残るためには、悪い流れを引きずらないことが第一。敗れたことが問題なのではなく、敗れた次こそ真価が問われる。
いずれにせよ、J2の混戦模様はまだまだ続く。どちらも後ろを振り向いている暇はない。

以上

2014.06.08 Reported by 中倉一志
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