勝敗を分けたのは一つのPKだった。
63分、1点ビハインドの水戸が磐田の背後を突いた。右サイドからのクロスに鈴木隆行が反応。体を投げ出して折り返すと、ボールは後手の対応になった磐田・菅沼駿哉の手に当たり、PKの判定。人一倍負けん気の強い菅沼が潔く判定を受け入れるほど、明らかなハンドだった。連敗を止めたい水戸としては何としても決めたいPK。キッカーは古巣対決の船谷圭祐。速い助走から左足でゴールの隅を狙った――。
この時、ゴールマウスに立った八田直樹は不思議なくらい冷静だったという。「『こっちに蹴ってくるかな』いうのがあった」(同選手)。彼を後押ししたのはスタンドの大きな声援だった。PKの判定後に磐田サポーターが『八田コール』を発動させると、磐田市に招待された磐田市内の小学生約3200人もこれに呼応。この試合一番の声援がスタジアム内に響き渡った。「小学生もあれだけ声を出してくれていたし、ここでいいプレーを見せたかった」と八田。自身の左サイドに飛んで来たシュートに鋭く反応し、見事にキャッチしてみせた。
船谷は磐田ユースの先輩。互いの手は知り尽くしていたからこそ、わずかな“変化”に気付いた。「(船谷の)助走が少し速いと思った。プレッシャーを感じていたのかなと。正直、止めることができなくても(船谷が)外すかなと思っていた。かなりのプレッシャーがあったと思うから」(八田)。
一方の船谷は肩を落とし、「今日はPKのことしか(印象にない)…。(クセを読まれた?)そうかもしれません」と言葉少なだったが、いつも以上に重圧を背負っていたのかもしれない。かつてのチームメイトとのPK対決は明暗分かれることになった。
磐田のゴールシーンもスタジアムを沸かせた。磐田の決勝点は20分。敵陣左サイドでFKを獲得すると小林祐希が素早くリスタートし、ショートパス。これを受けた山崎亮平のクロスに反応したのはポポだった。右足で強引にシュートを打つと、ボールは本間幸司の手を弾き、ゴールへ。本間の守備範囲ではあったが、背番号7のパワーがわずかに上回った。「小学生の大きな声援がボールをゴールに押し込んだのかもしれませんね」と笑顔を見せたポポの得点で、磐田が3戦ぶりに勝利。順位を2位へ上げた。
対する水戸は前半終了間際に馬場賢治が負傷退場。鈴木隆行を途中投入し、アクシデントで早い時間帯に交代カードを1枚切ることになった。また、後半開始からは「いつものプレーではなかった」(柱谷哲二監督)というボランチ・中里崇宏を代え、西岡謙太を起用。前半こそ磐田の勢いに押されたが、後半は反撃を仕掛けた。冒頭のPK以外にもチャンスも作り、50分、52分には三島康平が立て続けにシュート。さらに71分には三島のシュートのこぼれ球を西岡が押し込んだが、オフサイドの判定に泣いた。中盤の小澤司は「相手の最終ラインは不安定だったのでギャップをつけば、ゴール前まで行けた。前半はその回数が少なかった。もったいない試合だった」と悔やむ。敵地で勝機もあったが、結果的には完封負け。今季初の3連敗で順位を14位に下げた。
以上
2014.06.08 Reported by 南間健治
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