愛媛は３連勝した後の前節は千葉に敗れており、群馬も直近の４試合が２勝２敗で一進一退の状況だっただけに、両者とも連敗を避けたい一戦だった。また、どちらも前節はらしさを出せずに敗れただけに、自分たちのスタイルをもう一度見直す戦いでもあった。その点で、キックオフ直後の愛媛は悪くない入り方をしたように見えた。前線からしっかりとプレッシャーをかけて、ボールを奪う。ボールを支配してゴールを目指す自らのスタイルを取り戻すかに思われた。

ただ、ポゼッションをして主導権を握りたいのは群馬も同じ。愛媛に負けず、サイドから愛媛を攻略していく。まず９分、両ワイドを使って左サイドから瀬川和樹がクロスを入れると、ダニエル ロビーニョがフリーでへディングシュート。右にそれたが、最初のビッグチャンスを迎えた。すると19分には先制も奪う。ロビーニョが右サイドでハン ヒフンからボールを奪うと、ゴールに向かってドリブルを開始。中央の横山翔平を経由して、最後は左サイドを駆け上がってきた瀬川が豪快にシュートをねじ込んだ。「連携から失点をしてしまい、今日はそれが全てだった」と西岡大輝は悔やんだが、愛媛は次第に前に行くパワーを失っていった。

それでも愛媛は24分、ポゼッションから村上巧、村上佑介とつないで右サイドを駆け上がってきた代健司がフリーに。ゴール前にも人数をかけられていい形だったが、クロスが直接ゴールラインを割ってしまった。また、前半終了間際には林堂眞が競り勝ったこぼれ球を村上佑が拾い、すぐさま縦パスを選択。河原和寿が相手ディフェンダーの裏をとって直接シュートを放ったが、枠をとらえることはできなかった。先のボールを保持した攻撃とは違い、速攻という点では続けていきたい１つの形だったが、これも単発に終わり、なかなか後が続かなかった。

厚みのある攻撃ができない愛媛だったが、この日は最後までフィニッシュの精度も欠いてしまった。後半に入ると64分、村上巧のクロスをハンが頭で落とし、代がフリーでボレーシュート。これは内藤圭佑の好セーブに阻まれた。悪いなりにも愛媛は得点のチャンスを得ていたし、結果的に放ったシュートは群馬の７本を大きく上回る18本。74分にはクロスのこぼれ球を原川力が拾ってシュート。ペナルティエリアに入ったところでの決定機だったものの、これも枠をとらえることはできず。アディショナルタイムに放った渡辺亮太のミドルシュートもゴールキーパーの正面。クロスにしてもフィニッシュにしても、最後のプレーが大きく精度を欠いてしまった。

こうして愛媛が拙攻を繰り返す間に、群馬も反撃。67分に愛媛のパスミスをカットしてロビーニョがしかける。そして愛媛のディフェンダーを次々とかわし、貴重な追加点を奪った。アウェイで貴重な勝点３を得た秋葉忠宏監督は「自分たちがボールを握れる時間を増やさないと勝ちが難しい季節になる」と勝って兜の緒を締めたが、その言葉通りポゼッションができる時間を増やして連勝街道のスタートにできるか。次のホーム熊本戦（６／１４＠正田スタ）では連勝を成し遂げることで、より上の順位を狙いたい。

一方で敗れた愛媛は３連勝の後で２連敗。連勝中も含めて、前に進む推進力が感じられない試合が続いていることが気がかりだ。この試合では両サイドも入れ替えて改善しようと試みたが、結局流れが好転することはなかった。コンディショニングの問題、そしてメンタルの問題など原因を早く改善して、どこかで流れを変えなければこれからの暑い季節を乗り切ることは厳しくなる。

以上

2014.06.08 Reported by 近藤義博