富山は前節で今季2度目の6連敗となり最下位に陥落した。今節はホームに首位の湘南を迎える。チームは「失うものはなにもない。すべての力を出し切る」(MF大西容平)との決意で臨む。狙うは開幕からの悪い流れを断ち切る金星。ピンチをチャンスに変えられるか。
富山の前節・熊本戦は猛暑との戦いでもあった。気象台が発表した熊本市の最高気温は33.9度。日差しも真夏のように強かった。その中で2点を追う苦しい展開だった。めげることなく最後までゴールを目指した姿勢は次につながる。闘争心は衰えていない。
対戦相手は下位にあえぐ富山をあなどることなく備えてくる。熊本の小野剛監督は「戦う前から、富山の力は今の順位を反映していないことを選手とも共有していた」と言う。その結果、熊本は8試合ぶりの白星を手にし、前々節に対戦した讃岐は15試合目にしてJ2初勝利を挙げた。相手を上回るパワーを発揮し、下位包囲網ともいえる状況を突破しなければ勝利は望めない。アウェイ2戦の取材を通じて最も印象に残ったのはホームチームを勢いづけた讃岐、熊本サポーターの熱気。今回は地元に戻る。苦境に立つチームをひとりで戦わせるわけにはいかない。後押しが必要だ。
湘南は強大な敵だ。J2記録タイの14連勝を開幕から無傷でマーク。前々節・愛媛戦で初黒星を喫したが、前節・東京V戦を1−0で勝って再出発している。攻守の切り替えの素早さと運動量で相手を圧倒するゲームを続けており、総得点40・総失点7も断然のリーグトップ。データ上で富山がかなう要素は見当たらない。
得意とするショートカウンターばかりではない。ボランチの永木亮太を軸とするパスワーク、FWウェリントンの高さやポストプレー、FW武富孝介のドリブルなど攻撃パターンは多彩で、守備ブロックをこじ開けて得点するだけの威力を備えている。
富山の安間貴義監督は「湘南の最大の特長は守りから攻めへ切り替える瞬間のスピード。ボールを奪えると信じてスタートを切っているからマークが置いていかれる」と話す。だが、攻守の切り替えスピードは富山も長くにわたりこだわり続けてきた部分だ。ハイプレッシャーを交わして、逆に好機をつくることも可能だろう。甲府在籍時から湘南と昇格を巡ってしのぎを削ってきたMF秋本倫孝は「湘南が勝っていることは認めても、恐れる必要はない。自分たちがやるべきことをやればチャンスはつくれる」と話す。同じく大西は「降格争い、昇格争いを経験して思うのは、終われば何かしら後悔はするのだから、今はやれることをやり尽くさなければいけないということ。失うものはなにもない。力を出し尽くしたい。良い時間はつくれているので、それを長くしていきたい」と語った。
以上
2014.06.06 Reported by 赤壁逸朗
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