5月最終日から6月にかけて開催されるこの第16節。北海道札幌市にある厚別公園競技場では現在勝点19で13位の札幌が、同じく勝点19ながら得失点差の関係で16位となっている福岡を迎え撃つ。厚別公園競技場で行われる札幌の今シーズン最初のホームゲームとなるこのカードは、昨年は札幌の2勝という対戦成績だ。
札幌は前節、札幌ドームに水戸を迎えて対戦し4−0のスコアで快勝した。前半こそスコアレスだったものの、後半開始直後に石井謙伍、都倉賢が立て続けに得点すると、その後は前がかりになった相手をカウンターで脅かし加点。7試合ぶりの白星とあってスタジアムも大いに盛り上がった。「なかなか結果が出ないなかでも応援してくれて、そういう後押しが大きかった」と財前恵一監督はファン、サポーターに強く感謝した。
「大きな1勝」
この水戸戦の勝利についてエースの内村圭宏はそう評した。なかなか勝つことができず、サポーターからの強いブーイングもあった6戦無勝利。そのなかで「監督、コーチ陣がポジティブな空気を保ち続けてくれた」とも内村は感謝し、選手たちも自発的に話し合いを繰り返した。そうして「話し合いのなかで言い合ったことを、みんながプレーで出せていた。もちろんそれは、試合に出ていなかった選手もトレーニングからハードにやってくれたことも大きかった」と最後方から試合を見ていたGK金山隼樹も振り返る。
そしてすべての選手が発していたのが「今日の試合のプレーを最低限しなければいけない」とのコメントだ。アグレッシブにボールを追い、勇気をもって全体のラインを押し上げ続けた水戸戦。そうしたハードワークを継続できるか否か。それが今シーズンの札幌の結末を左右するとも言っていい。「次の福岡戦が本当に大事になる」と内村が結んだように、前節の快勝をより意義深いものにするためにも札幌はこの試合にさらなるモチベーションを持って挑むはずである。
一方、初夏の北海道に乗り込む福岡の前節はホームで山形と対戦して0−1で敗戦。立ち上がりに失点をすると、そこからアウェイチームの勢いを跳ね返しきることができず、そのまま90分間を終えてしまった。それなりにチャンスもあったことを考えても、非常に手痛い敗戦となってしまった。14節の湘南戦(●0−2)に続いてスコアレスでの2連敗である。
そんな山形戦をマリヤン プシュニク監督は次のように振り返る。
「アグレッシブさという点で物足りませんでした」「我々は球際の戦いでも負けていましたし、バックパスも多かった」。そしてこうも付け加えている。「我々はもっとハードワークをする必要がある」と。
現代サッカーにおいてはハードワークというのは常に大前提となっている。どんなに技術があってもスキルがあっても、ハードワークがなければそれらはほぼ意味をなさなくなる。そのくらいのトレンドになっていると思うし、こうして改めて筆者が論じる必要もないほどにベーシックなものだとも思う。指揮官は自らのチームについての課題をその部分に見出している状況だ。
ただし、逆に言えば、うまくこの部分を表現できればチームはしっかりと結果を出せる。そうとも言えるのかもしれない。技術、戦術の部分は数日間のトレーニングで急激に向上するものではない。しかし、ハードワークの部分はコンディショニングとメンタリティを高めればすぐにでも体現できるもの(当然、簡単なことではないのだが)。山形戦からの1週間で、福岡がどこまでメンタリティの部分を再確認できたのか。それが問われる一戦だとも言えるだろう。
さて、そんなチーム同士の対戦だが、焦点はやはり「ハードワーク」か。前節の札幌は結果が出せないなかでチームが再結束し、泥臭いハードワークを徹底することで流れを生み出した。そこが継続できるかどうかがポイントであることは前述した通り。そして福岡のほうもハードワークの部分が課題であることが前節の敗戦でハッキリと明確となった。
どちらもハードワークを強く意識して臨むこの一戦。タフで激しい戦いになりそうである。またこの試合前にはエキシビジョンマッチも開催されるため、こちらも是非楽しみたいところだ。
以上
2014.05.30 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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