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【toto情報】コラム:コンディションとモチベーション(14.05.30)

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フリーなんて、まったく自由じゃない。

勤務時間は1日8時間?いえいえ、24時間です。というか、全く仕事のない日々が続くと、「このまま、生きていけるのか」と不安になる。残業代?出るわけがない。仕事があれば「ありがたい」とやらせてもらうだけ。連休とか、有給休暇とか、賞与とか、そんなものはあるはずもない。すべては、クライアントの意向に沿ってやるしかない。

だからこそ、「休む」というのは、本当に勇気がいる。先日、サンフレッチェ広島が大型休暇に入ったこともあり、僕も連休をとろうと考えた。でも広島にいると、どうしても「仕事」をしてしまう。しなきゃいけないという脅迫概念にさいなまれる。だからこそ、かねてからやるべきことがあった奈良に行くついでに、休暇をとらせていただくことにした。もちろん、それまでに他の仕事の手配はやり終えて。だが、それでも、いくつかの仕事のオファーは、泣く泣くお断りしなければならなかった。

基本的に、仕事は断らない主義である。というか、そんな偉そうなことができる立場ではないし、どういう仕事でも結果的に次につながる。スケジュール的に無理っぽくても、なんとか調整してできる道を探すことを旨としてきた。だが、今回は、心が不安と申し訳なさでズタズタになりながらも、「休む」ことを優先させていただいた。そうしなくてはならないほど、自分自身の身体と頭がボロボロになっていたからだ。

こんな経験は、ほとんどない。若い頃は体力に任せて戦ってこれた。優勝した時も仕事量は半端なかったが、それも期間限定だったこともあり、乗り切れた。だが、今回は違う。果てしなく続く連戦の日々はほぼ3ヶ月間、途切れなかった。途中、2度ほど「週1回」のペースになったが、それは連戦の日々の中で積み残された仕事をこなさねばならず、休日などとれるはずもなかった。試合が続くだけならば、何とかなったのだが、そこに移動が加わってくると本当に辛い。広島→シドニーの11時間超を筆頭に長距離移動ばかりの日々によって、肉体も精神もボロボロ。果たして仕事の質を維持できたのか、そこが本当に不安になり、さらに疲労が増してくる。

それでも、ACLで勝ち進んでいる時は、その勢いが自分を支えた。だが5月14日、ウェスタンシドニーに敗れて敗退が決定すると、ダメージは倍加。連戦の最後となる仙台に到着した時は頭痛もしてくる有様で、メンタル的にも不安定な状態に陥った。人間、極限まで疲労すると、頭の回転が鈍くなり、身体の節々まで支障をきたし、さらにはメンタルにも影響してくる。それが痛いほど、理解できた。

だからこそ、どうしても休みをとりたい。とらないといけない。そうでなければ、さらに仕事で迷惑をかけることになる。サラリーマンをやめ、フリーになって初めて、自らの体調回復を目的として休暇(それでも、完全なる休み、とまではいかなかったが)をとらせてもらった。ご迷惑をおかけしたみなさん、本当に申し訳ありません。今後のお仕事で、挽回させていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

さて、totoである。ここまで延々、書いてきたことで何を言いたいかというと、J1のチームは今、Jリーグヤマザキナビスコカップの連戦を戦って、疲労の極みにあるということが言いたいのだ。J1第14節からスタートし、中2日が2試合、そして中3日が2試合。それ以前にもGW連戦を戦ってきた彼らに、疲労が蓄積していないはずがない。しかもここ最近は急激に気温も上昇していて、夏場のような高温多湿の環境も続いている。肉体的にも精神的にも疲労は否めない。彼らのコンディションがどういう状況にあるか、移動なども含め、そこは大きなポイントとなる。

このカップ戦は7チームでグループリーグを戦っていることもあり、各節1チームは「試合なし」となって休むことができる。そこはポイントの1つとはなるが、前節は中6日の鹿島が中3日の神戸に完敗しており、単純にはいかない。ただそこに、試合に向かう「動機付け=モチベーション」が加わると、また違ってくる。グループリーグ突破が現実的なものとなっているのか、既に敗退が決まっているのか。「サポーターのために」というベースに加えて、さらに戦う意味をそこに見い出すことができれば、ある程度は疲労も軽減できるというもの。今回は、単純な戦力比較だけでなく、この部分も予想に大きな意味を持つはずだ。

6月1日のヤマザキナビスコカップが終われば、J1のクラブは「ワールドカップ休暇」に入る。だが、J2はいつもどおり、シーズンが続いていく。もちろん、日本代表の戦いや世界最高峰のプレーも気になるところだが、J1昇格を目指して必死に戦う戦士たちの頑張りもまた、魅力的だ。J1クラブのサポーターも、この機会を利用してぜひ、J2戦線に視線を向けていただきたい。サッカーの本質的な面白さや新しい可能性が、J2には十分に存在している。香川真司も柿谷曜一朗も、今野泰幸や遠藤保仁も。青山敏弘、山口蛍、大久保嘉人、川島永嗣、森重真人、権田修一、酒井宏樹、齋藤学、伊野波雅彦。彼らワールドカップ戦士たちの過半数が、J2で戦ってきた男たちなのである。

以上

2014.05.30 Reported by 中野和也(広島担当)

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