前節札幌戦、水戸は冷や水を浴びせられるような敗戦を喫した。第14節京都に5対1の大勝。第13節岐阜戦でも劇的な逆転勝ちをおさめており、チームは大きな自信をつかんだはずだった。だが、札幌戦では集中力の欠如から2失点を喫し、その後、自らバランスを崩して失点を重ねた。それまでリーグで2番目に失点の少なかったチームがまさかの4失点。選手たちの受けたショックは小さなものではなかった。
ただ、「僕らが積み上げてきた自信は1試合で崩れるほど小さなものではない」と本間幸司が言うように、下を向いている選手は誰もいない。札幌戦も前半は決して悪い内容ではなく、水戸ペースで進んだ。自分たちでバランスを崩したことが大敗の原因である。だからこそ、「自分たちのやるべきことをやれば、結果は出る」(尾本敬)という自信は揺らいでいない。もう一度足元を見つめ直し、力強く新たな一歩を踏み出すために、今節は非常に重要な一戦になる。「前節は『まだまだだよ』と突きつけられたゲームだったと思います。あそこで勝っていれば、自信をつかむことができていたかもしれませんが、また前に進むヒントを得たと思っています」。馬場賢治は落ち着いた口調でそう口にした。
とはいえ、水戸にとって難しいゲームになるに違いない。現在3位につける松本は「隙を突いてくるチーム」(本間)。前節も磐田の強力な攻撃を封じ込め、鋭いカウンターから再三チャンスを作り出して勝利を手にした。水戸は前節のような戦いをすれば、再び痛い目を見ることだろう。
そんな松本に対して、水戸は過去2年間で1分3敗ととことん相性が悪い。「毎試合同じやられ方をしている」と本間が振り返るように、前がかりになったところで電光石火のカウンターの餌食となってきた。「やることが分かっていても、やりきる強さが松本にはある」と本間は3位につけるチームの強さを説明する。そのチームに勝利するためにも自分たちから隙を作らず、我慢強く戦い抜くことが求められる。「いい流れの時にバランスを考えて失点しないようにしなければならない」と内田航平が力を込めるように、前節の反省を生かすべきゲームとなるだろう。成長するためには同じ過ちを犯してはいけない。今季のチームの真価が問われる一戦となる。
松本にとっても今節は重要な一戦になることは間違いない。前節は2対1で磐田を撃破。2位磐田と同勝点に並んだ。ただ、大事なことは続けることである。もう一度気を引き締めて今節に臨まなければならない。
好ゲームを期待したい今節だが、両チームともけが人を多く抱える、まさに満身創痍の状態にある。水戸は現在7人が別メニュー調整中。今週も主力選手に新たな離脱者が出てしまい、チーム作りは難しい状況にある。
一方、松本も前節試合中に塩沢勝吾が左足のアキレス腱を断裂し、岩間雄大は左眼窩底骨折の大けがを負うアクシデントが発生。その他にも主力数人もコンディション不良の状態で出場が危ぶまれている状況だという。
両チームともベストメンバーが組めない中で求められるのは総合力。いかにこれまでチーム全員が高いモチベーションを持って、チームのやるべきことを意識して取り組んできたかが問われることとなる。また、連係面など思い通りにいかないシーンが出てくるはず。それでもしっかりコミュニケーションを取ってピッチ内での意思疎通を図りたい。
「チーム一丸」。両チームが最も重要としているこの言葉が、最も必要とされるゲームとなるだろう。満身創痍の中でつかむ勝点3はチームの結束を高め、大きな自信をもたらしてくれるに違いない。
以上
2014.05.30 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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