最近5試合の公式戦で1勝4敗と負けが込んでいる鹿島だが、シュート数で相手を下回った試合はひとつもない。14本、13本、15本、26本、19本と5試合で合計87本ものシュートを打ちまくっている。しかし、ゴールに決まったのはそのうちたったの4本。20本以上打ってようやく1点が決まるという効率の悪さでは、勝利を手にすることは難しいだろう。このところの苦しい戦績がそのことを如実に物語っている。
しかし、選手たちはいまの状況を悲嘆するのではなく、必ず状況は好転すると信じていた。
「チャンスを作れているのはチームとして出来がいいこと。チャンする作れなくて負けたら重いし、これからどうする、という感じになるけどそうじゃない。落ち込む必要はない」
攻撃を牽引する選手の一人である遠藤康は、得点が入らないことを「気にして違うサッカーをする必要はない」と断言した。
確かに、トニーニョセレーゾ監督体制も2年目を迎え、様々な攻撃のパターンを身につけつつある。シーズンの序盤はセットプレーで手堅く勝利を得ることが多かったが、最近は同じような得点場面はなく、得点する選手も偏っていない。チーム全員でチャンスを作り出せている。
「チャンスが増えてるのは互いを見れたり見る回数だったり、意識する回数が全員にあるからだと思う。自分一人でどうにかしてしまうというよりはみんなでサポートしながらできていることがチャンスの多さに繋がっている」
トップ下でそのチャンスの多くに関わる土居聖真は、ゴール前の場面が増えている理由をそう述べた。
しかし同時に、得点に結びついていないことへの危機感も強い。
「逆に言うとそれだけチャンスがあって決めきれないのは自分一人でも決めようと思う意識が足りないのかも。個人的には、半分半分くらい持てるといい」
そう言って、まわりを見ることと自分で行こうとする意識をバランス良く持つことの重要性に触れた。
今節対戦する神戸とはリーグ第8節で対戦、後半半ばまで2−1とリードを奪うも青木剛の退場をきっかけに一気に逆転を許し、勝利を逃す苦い経験をした。森岡亮太を中心とする攻撃陣の質は高く、守備で隙を見せれば同じように苦しい試合となることが予想される。互いに2勝2敗の勝点6。残り2試合で2連勝すれば勝点12まで伸ばすことができる。ただ、上位との対決をすでに終えている神戸、G大阪と清水が勝点15まで伸ばす可能性があるため、はたとえ2連勝しても届かない。しかし、鹿島は最終節に清水との対戦を残しているため、得失点差の勝負にはなるが、2連勝すれば決勝トーナメント進出に可能性を残すことができる。
「最善を尽くすしかない。前半戦は残り2試合なんでやることはやって、良い形で追われればと思うし、終わらないといけないと思う」
土居は、持っている力の全てを残り2試合で発揮することを誓っていた。
以上
2014.05.27 Reported by 田中滋
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