今季のヤマザキナビスコカップの予選Bグループは、今節の結果が勝ち抜けに大きく影響してくる情勢となってきた。首位の甲府がホームで2位の浦和を迎え撃ち、4位名古屋が3位柏とホームで対戦する。前者の勝者は決勝トーナメント進出をほぼ手中に収め、敗者は一歩後退する。瑞穂陸上競技場で戦う2チームはとにかく勝点3を獲得し、最終節に望みをつなげることが唯一にして最大の目標だ。前々節の快勝から1週間の準備期間があった柏も、連戦ながら連勝中で波に乗る名古屋も状態は良好。互いの持ち味を前面に押し出すアグレッシブな真っ向勝負が期待できそうである。
名古屋の懸案事項は疲労のみだ。5月17日のリーグ14節から中3日、中2日、中3日と試合日程は過密極まりない。それはどのチームにも言えることなのだが、こと今季序盤の名古屋は負傷者が多く、“戦える”メンバーを揃えるだけでも一苦労している面がある。数人の負傷者がようやく復帰してきたのだが、前節では右サイドバックで起用されている矢野貴章が疲労の蓄積で想定より早く交代しており、前々節で負傷した中村直志も肉離れで3週間ほどの離脱が発表された。幸いにも右サイドバックは田鍋陵太が、ボランチではダニルソンが調子を上げてきており心配はないが、試合に出続けているメンバーはそれでも多い。バックアップを含めた総力戦の様相は、避けられそうにないのが現状だ。
ただし名古屋はチームの状態としては決して悪くはない。特に攻撃陣の充実は頼もしく、永井謙佑と玉田圭司の2トップに加えて小川佳純、矢田旭、田口泰士が絡むパスワークは日々精度を上げている。前節の玉田のゴールなどは最たるもので、ダイレクトパス5本を縦につなぐだけでなく、最初の起点となった玉田がフィニッシャーとなった点でも出色。サイドには鋭くパワフルなドリブル突破を連発した田鍋もおり、攻撃のバラエティはここにきて豊富になってきている。白眉は田口だ。持ち前の小気味よいパスさばきに、今季は縦への推進力が加わりプレーに怖さが出てきた。彼もまた指揮官曰く疲労がたまっている選手だが、前節の試合をコントロールした中心人物をここで欠くわけにはいかない。決して上背はないが空中戦にもめっぽう強いボランチは、名古屋の鍵を握る男である。
一方で土曜日の4節は試合がなかった柏はまずコンディション面で優位に立つ。1週間の準備期間は連戦における最大のアドバンテージといえるだろう。しかも新潟との一戦は3−0の快勝を収めており、良いイメージを持って準備を進められることも有利な点だ。こちらも前線の好調ぶりが目立つが、名古屋と比較するとより縦に鋭い印象が残る。新潟戦ではボールを奪った後のカウンターが速く、ビルドアップしながらも田中順也の先制点のような素早い攻撃も見せていた。レアンドロや工藤壮人ら万能型が並ぶ最前線はボールの収まりもよく、それゆえ高山薫と橋本和たち両サイドが躊躇なくオーバーラップを仕掛けられることが速さの源泉だ。前線の決定力の高さも注意すべき点で、名古屋のDFラインは常に警戒を強いられることになるだろう。
こうして両チームの状態を比較するに、試合の趨勢を決めるのはゲームメイクあるいはゲームコントロールといった部分となりそうだ。体力的に厳しい名古屋はより緩急を強調し、体力の使いどころを間違ってはいけない。幸いにも田口を中心としたポゼッション能力は上がってきており、柏が押し込んでくれば永井の速さが活きる。これらをけん制力とし自分たちのペースに引き込めば、コンディション差は最小限に抑え込めるだろう。逆に言えば柏は一気呵成の猛攻で名古屋を走らせてしまえば、時間の経過とともに主導権は転がり込むことになる。いつ、どこでパワーを集中させたプレーを繰り出すか。それについては西野朗、ネルシーニョというJきっての名将たちの試合を読む力も大いに影響してくる。特に前節で選手起用とフォーメーション変更をピタリと当ててきた西野監督には、今節でも効果的な采配を期待したいところだ。
勝って最終節に望みをつなぐのは、名古屋か、柏か。今季はリーグ戦で名古屋が先勝、舞台を瑞穂に移してのリターンマッチの行方やいかに。
以上
2014.05.27 Reported by 今井雄一朗
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