今節の湘南は、Jリーグの新記録の15連勝という偉業に挑戦する一戦だった。スタジアムを訪れた人たちの最大の焦点は、それが成し遂げられるかどうかという1点に集約されていたと言っても過言ではない。その試合は、後半のアディショナルタイム5分も含めて一瞬も目が離せない展開になった。
結果は、ホームの愛媛が湘南の連勝をストップ。新記録の達成はならなかった。
その局面の攻防を見ていると、やはり愛媛の選手たちの気迫は凄まじかった。決して湘南がこれまでと比べて低調なパフォーマンスだったというわけではない。シュート数23本という数字を見ても、湘南の怒涛の攻撃は一目瞭然。愛媛の最終ラインで体を張り続けた林堂眞も「カウンターのスピードは速かったし、人数もかけてきた。僕らにできないことを向こうはやってきた」と認めたが、この日の湘南に足りなかったのは最後の精度だけ。しかし、そこの部分に関しても、結局は愛媛の選手たちが集中を切らさず、体を投げ出し、最低限シュートコースを限定することは欠かさなかった。
例えば80分、湘南にとってはこの試合で最もゴールに近づいたシーン。永木亮太のシュートがポストを叩いたが、吉村圭司が最後まで永木に並走。相手のボールホルダーに食いつかず、裏を抜けようとする永木のランニングを読んでカバーを怠らなかった。また、試合を通じてカウンターを繰り返した堀米勇輝は、奪われると何度も全力で帰陣。「簡単に上げさせなければ失点はしない。どうしても押し込まれる時間帯はあるけれど、今はそこで耐えることができているから勝てている」(堀米)。札幌戦、讃岐戦を完封し、連勝したことで得た自信も最後まで集中を保つ要素になった。
また、「ある程度クロスの対応にしぼった」と石丸清隆監督は明かしたが、愛媛にとってサイドから放り込まれることは想定内。中を固めて跳ね返すという湘南対策も、勝利を呼び込む一因になった。その点で湘南にとって誤算だったのは大槻周平の負傷交代だろう。フィニッシュで強さを出せる大槻を欠いたことで、曹貴裁監督も早め早めにカードを切り、さらに形を変えながら愛媛の穴を探したが、最後までゴールを割ることができなかった。それでも、運動量にしてもゴールに向かう迫力にしても、湘南らしさは出し切った。「切り替えることが大事」と選手も指揮官も繰り返したが、その言葉通り次節の東京V戦(5/31@BMWス)からまた連勝の第一歩を踏み出すことが、J1復帰への再出発となる。
一方で、首位を叩いた愛媛は連勝を3に伸ばした。堀米は「理想は自分たちのサッカーで勝ちたいが、現実との間で割り切ることも大事。我慢することをネガティブに考えないことも必要だし、自分たちの時間を長くしたい」と分析したが、結果を出しながら内容を修正できることが今は何よりも一番。確かにこの試合も必ずしもワンサイドゲームではなく、20分頃までは湘南に臆することなく立ち向かい、その後は一時湘南に主導権を握られながらも反撃も試みた。ただ、後半に関しては防戦一方。そこからどうやって自分たちの時間を取り戻し、2点目を奪うためのゲーム運びをやっていくのかが今の課題だ。「内容は満足いくものじゃないし、自分たちがワンランク上に行くためにはもっと日々のトレーニングから努力しないと」と河原が語れば、林堂も「こういう試合をもっと優位に進められれば強くなる」とさらなる成長を誓ったが、愛媛にとっては次も真価が試される。未だかつて勝利を挙げていない千葉戦(5/31@フクアリ)は、クラブ初の4連勝をかけて戦う一戦だ。
以上
2014.05.25 Reported by 近藤義博
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