今日の試合速報

ACLE
ACLE

J’s GOALニュース

一覧へ

【ヤマザキナビスコカップ 鳥栖 vs 仙台】レポート:若さと経験がうまく融合した90分。今後につながる勝利を収めた鳥栖。意図する流れに最後まで持ち込めず、予選敗退が確定した仙台。猛暑の中の試合は、鳥栖が今後の可能性を示した試合。(14.05.25)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1976年の国民体育大会『若楠国体』のメイン会場として完成した佐賀県総合運動場陸上競技場。佐賀県のスポーツ史を語る上では欠かせないこの競技場で、約1年7か月ぶりのJリーグだった。
鳥栖対仙台のヤマザキナビスコカップ予選第5節。前回の鳥栖は、磐田を相手にJ1残留を確定させた試合以来とあって、スタンドにはスポーツを愛する佐賀県民が多く駆けつけた。もちろん、近隣や仙台からも、ご贔屓のクラブを応援しに駆けつけていた。その熱気のせいもあり、キックオフ前には30度を超す“暑い、熱い”試合となった。

その中心にいたのは、鳥栖の若手選手たち。ご存知の通り、ナビスコカップは“ニューヒーロー賞”を選出する大会でもある。大会開幕時(2013年3月19日時点)に23歳以下の選手であることが選定の対象。第2種トップ可登録選手およびJFA・Jリーグ特別指定選手も選ばれる可能性がある。この日のメンバー表には両チーム合わせて10名の選手がこの対象となっていた。それぞれに活躍を見せてくれたのだが、ここではボランチに入った鳥栖の福田晃斗(鹿屋体育大学在学中)にスポットを当てたい。

「今日の試合は、まずはミスをしないことが目標だった」と振り返った。それまでの出場した試合での反省から、立てた目標だったそうだ。点を取ることやアシストを記録するのではなく、“ミスをしない”と見方によっては控えめとも、消極的とも取れそうな目標だった。しかし、この“ミスをしない”という目標を立てるに至った経緯には、彼らしいクレバーさとしたたかさもあった。

ミーティング時に『ここらで自分らしさを見せておかないと・・・』と考えたそうである。鳥栖で出場した試合では、ミスも多くチームに貢献する機会を見せることができなかったからと明かしてくれた。確かに前回出場したナビスコカップ第3節G大阪戦(4月16日ベストアメニティスタジアム)では、彼の持ち味である運動量と攻撃的なパスは少なかった。しかも、56分でピッチを去っていった。ケガのために実戦から2か月ほど離れていたことも影響しただろうが、「落ち着いて状況を判断できなかった」(福田)が大きな要因らしかった。
今節の試合に臨むに当たり考えたのは、“ミスをしない方法”ではなく“一度リセット”することだった。「大学でやっている通りに一回やってみようと思ってプレーしてみました」(福田)。何とも大胆な発想である。プロで戦っている猛者の中で“大学でプレーしている通りに・・・”と22歳が考えるのだから、大胆不敵なニューヒーローである。しかも、それを実践し「前に行ったり後ろに戻ったりという自分の良さが今日は出せたと思います。」と振り返るあたりに、クレバーさとしたたかさを感じる。確かに、彼の言葉通りの展開を数多く見せた。攻撃では2列目のサポートに入り、守備では最終ラインのカバーリングと、文字通りの縦横無尽の働きであった。冴えたるものは、57分のアシストである。左CKからのボールをFW谷口博之から受けて、MF高橋義希とパス交換し、左足でファーサイドのMF清武功暉に送ったものである。
アシストを記録したから素晴らしいのではなく、日ごろから連携を取る時間がない中での連携を取れたことである。自分の役割を見定め、ポジショニングを取り、チームの歯車となるプレーを試合の中で感じ実践する能力を秘めていることを証明してくれたともいえる。彼同様に、得点を決めた清武功暉、相手GKと交錯しながらもシュートを放ったFW平秀斗らの活躍も、別の機会に紹介したいと思う。

リーグ戦で好調だった仙台は、連戦の影響か「動きが重たかったところが・・・」(渡邉晋監督/仙台)あった。連戦だけでなく、この日の佐賀は仙台とは10度以上の温度差があったことも影響しただろう。「若干運動量も少なくて足元足元になってしまった」(渡邉監督)ことを、「もっと仙台はタテをうまく使ってくると思っていた」と仙台を知る高橋義希(鳥栖)が証明してくれた。あれだけリーグ戦で良い戦いを見せていても、その実力が出せなくなるのもカップ戦であるし、アウェイ戦なのかもしれない。勢いを見せた鳥栖に対し、実力を示し切れなかった仙台という構図の試合だったと感じた。

末筆になるが、今レポートで福田晃斗にスポットを当てた言い訳をしておきたい。読者諸兄の中には、『今節は、得点を決めた清武功暉だろう!』とか、『地元高校出身の平秀斗ではないのか!』と感じられた方もいるだろう。しかし、彼らは次節の活躍も期待できるが、福田はこれから教育実習に入るのである。「地元(四日市中央工業高校)で、サッカーの素晴らしさを教えてきます」と細い目をさらに細くしながら語ってくれた。今さらながら、彼はまだ鹿屋体育大学在学中なのである。身をもって感じているサッカーの楽しさに、プロフェッショナルの厳しさと自分の夢をかなえる技を、指導実戦で伝えてきてほしい。それが、サガン鳥栖のニューヒーローの今の仕事なのだから。

真っ直ぐにボールを蹴ると真っ直ぐに転がるサッカーボール。当たり所が悪ければ、意図したところには届かないのは丸いボールだから。それでも、受け手との信頼関係でパスが成立することもある。そこに必要なものは、出し手と受け手の意思疎通。日ごろからの信頼関係があるからこそ、争点の中でパスが通る。サッカーは、味方を信じるところから始まるスポーツなのである。
以上

2014.05.25 Reported by サカクラゲン
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/11/25(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田J3リーグ全ゴールまとめ【1124】