笹原義巳GKコーチの携帯電話がなったのは5月18日の夕方。13時キックオフの松本とのホームゲームを終えてクラブハウスに戻り、次節に備えて16時キックオフの湘南vs福岡をテレビで観戦しているときだった。携帯のディスプレイに表示された名前は「中村隼」。今季、山形から長崎に期限付き移籍した教え子だった。
「隼、どうした?」
「ササさん、やっとJリーガーになれました」
山形の試合と同時間帯に行われた栃木戦でJリーグ戦デビューを果たした報告だった。
「そうか、よかったね」と返したあと、師弟の会話は20分ほど続いたという。その内容は「まあ、説教ですけどね(笑)」。
笹原コーチが山形のGKコーチに就任した昨季、浦和ユースから加入して4年目の中村にはベンチ入りの機会もなく、練習試合や紅白戦でのプレーも時間を制限された。「ケガをしない体をしっかりつくる」との狙いがあったためだ。ボールを使うものも使わないものもあったが、全体練習が終わった練習場で、笹原コーチが中村を鍛える光景は毎日のように見られた。見るからにハードなそのメニューは相当にきつかったはずだが、この苦しみを乗り越えた先に強くなっている自分がいることをはっきり認識していたのだろう、中村はその苦痛を楽しんでいるようにさえ見えた。
試合から3日後、時間が空いた笹原コーチは中村の記念すべきデビュー戦の映像をチェックした。周りとプレーした部分だけを止めては戻し、止めては戻しを繰り返しながら、試合の最初から最後まで、細部にわたりチェックを入れた。電話の際に本人から聞いていた1失点のシーン以外にも気になるプレーは数多く見つかった。「また説教しなきゃいけない」と不敵な笑みを浮かべながら、笹原コーチは「本当に出られてよかったと思いますよ。負けなかったのもよかったけど、試合に出ないと外に出た意味がないので、いい経験ができた」と“新米Jリーガー”の誕生を喜んだ。
以上
2014.05.23 Reported by 佐藤円
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