2週連続して同じスタジアムで同じチーム同士が対戦するのはめったに観られないことだが、今回はリーグ戦とナビスコカップ予選でそれが実現。お互いに先週とは立場やメンバーが変わる中で、今度はどんな試合になるのか。また、先週の内容を踏まえて、お互いにどんな修正を加えて勝利を目指すのか。同カード2連戦ならではの注目点が多く、予選の行方だけではない楽しみが多い好勝負となるはずだ。
ここまでの予選Aグループでは、どちらも3試合を消化して、清水が3勝で勝点9、神戸が1勝2敗で勝点3。清水はこの試合に勝てば予選突破がほぼ当確で、神戸は残り3試合に全勝しないと厳しいという状況にある。ただ、だからといって清水が有利とは一概に言えず、神戸が開き直って大きな力を発揮する可能性もある。また清水は、約1カ月ホームでの勝利から遠ざかっており、これが中断前の最後のホームゲームなので、何としても勝っておきたい試合。お互いに引き分けで良しとする気は毛頭なく、勝利しか考えない戦いになるはずだ。
そうした状況を踏まえて先週の対戦を振り返ると、内容では清水が圧倒しながら神戸が先にワンチャンスを生かし、清水は何度も神戸ゴールに迫りながら2点目が取れずに勝ちきれなかったという試合。清水のほうはゴール前での工夫や精度という部分に課題が残ったが、水曜日のF東京戦(ヤマザキナビスコカップ予選第4節)では、高木俊幸の1ゴール2アシストの活躍で3得点。「先に点を取れると大きい」(六平光成)と久しぶりに先制点を取って試合運びにも余裕が見られ、アウェイで内容でも完全に上回って公式戦6試合ぶりの勝利を挙げた。前線4人のうちの誰かに当たりが出て、決めきる力が生まれれば、自分たちの形で試合を進められることも確認できた。
また、そうやって自分たちがゲームをコントロールできれば、無駄な疲労を少なくすることもできる。「ボールを奪われた後、素早く切り替えて3mとか5mの距離だけ頑張ってすぐに奪い返せば、何十mも下がる必要はないので、守備での疲れは少なくて済む。F東京戦ではそういうゲームができたし、それを毎試合やれれば安定した結果を出せると思います」(吉田豊)というのはチームとして目指している戦い方だ。水曜日は完全にレギュラー組で戦ったが、結果が出たこともあって体力的にも精神的にも消耗を抑えることができたのも大きな収穫だった。
だから今度の試合でも、清水としては何としても先制点がほしいところ。「F東京戦では裏に抜ける動きがたくさんあって、それがゴールにもつながった。サイドからのクロスだけじゃなくて、裏も狙っていくと相手はイヤだと思うし、それでまたサイドが空いてきたりするので、次も継続してやっていきたいです」(竹内涼)という部分が、神戸の守備を攻略するうえでキーポイントになりそうだ。また、F東京戦では高木善朗が久しぶりに出場機会を得たが、その他にも石毛秀樹や鍋田亜人夢など若き攻撃陣が出番に飢えている。今回は多少のメンバー変更もあるかもしれない中で、そうしたフレッシュな力の躍動も楽しみなところだ。「最近はミドルシュートが良い感覚で打てているので、監督からもどんどん打っていけと言われているし、もし出番があったら積極的に狙っていきたいです」(石毛)といった思い切りの良いプレーにも注目したい。
もちろん神戸のほうも、どうしても先制点が欲しいという点は同じ。水曜日の鳥栖戦では前節・清水戦からスタメンを3人変え、ペドロ ジュニオールとチョン ウソンを休ませたため、彼らが出場すれば攻撃で大きな力を発揮することだろう。また鳥栖戦でゴールを決めた19歳の松村亮も楽しみな存在だ。ただ、鳥栖戦の後半にFWマルキーニョスとGK山本海人が負傷交代しており、彼らが出場できるかどうか不明なのは不安要素となる。
そんな中で、前回のように清水に中盤を支配されてしまうと、前線に良いパスを供給することもできず、苦しい展開になってしまう。「ボールを奪って攻撃に出るところでミスが目立った」(安達監督)という反省点を修正し、自分たちがボールを握る時間を増やしたり、効果的なカウンター攻撃をくり出したりできるかどうかが、神戸にとっては大きなポイントになるだろう。それができれば、ゴール前で決定的な仕事をする個の能力が非常に高いチームなので、勝利の可能性を高めることができる。
もちろん、味方が先制点を取ってくれるまで守備陣が踏ん張りきれるかという部分も勝敗を左右する大きな要素。試合が膠着してくれば、セットプレーも大きな意味を持ってくるだろう。どちらにとっても予選突破のためにカギを握る大事な試合で、いかにして自分たちの優位を作り、結果を導き出すのか。チームの成長過程を見守る視点からも、見逃せない試合になることは間違いない。
以上
2014.05.23 Reported by 前島芳雄
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