大宮は4日前のリーグ戦からメンバーの入れ替えなし。名古屋も出場停止の小川佳純の位置に矢田旭を入れたのみ。リーグ戦、カップ戦ともに低迷する両チームが、浮上のきっかけをつかむため互いにベストメンバーで挑んだ一戦は、シュート数18対2で名古屋が大宮を圧倒した。
立ち上がりを過ぎてペースをつかんだのは大宮だった。「ポゼッションしてボールを動かすゾーンが低くなり、大宮のプレスを受けてペースを握られた」と西野朗監督が振り返ったように、大宮がボールを保持して名古屋陣内に押し込む場面が増えていった。ただ攻勢の割に、大宮の前半のシュートは増田誓志のミドルシュート1本に終わる。「ゴール前の迫力に欠けていた」と大熊清監督は嘆くが、サイドの深い位置にボールを運んだときも、早いタイミングでDFラインの背後へボールを欲しがる選手と、しっかりつないで崩しに行こうとする選手と、選手個々のフィニッシュのイメージがちぐはぐに見えた。3人目がスペースに飛び出るようなプレーはなく、出し手と受け手の関係だけで足元につないでいくつっかえつっかえの攻撃で、それでもある程度崩せていた辺りは、逆にリーグ戦14試合で24失点の名古屋の守備に問題があったといえるかもしれない。
しかし後半、連戦の疲労が見える中村直志と枝村匠馬に代えて、ダニルソンと松田力を投入すると、名古屋が一変する。「後半は運動量も増えて、全体的にラインを押し上げて、厚みのある攻撃ができた」と矢野貴章が語るように、活性化した中盤をベースにコンパクトな陣形を保ち、セカンドボールをことごとく回収して大宮を押し込んでいった。大宮は61分、ダニルソンから奪ったボールを家長昭博が右に展開し、渡邉大剛のクロスに長谷川悠が左足で合わせたが、これが大宮の最後のシュートだった。受けに回った大宮は間延びしてプレスもかからなくなり、攻撃に移っても選手の距離感が遠く、ボールを前に運べなくなった。
そして61分、ショートコーナーからセンターバック二人が空中戦で競り負けて失点すると、大宮は攻撃的な交代カードを次々に切るが、これがいずれも奏功しなかった。66分に増田を下げて橋本晃司を入れると、渡邉大剛がボランチに移動。70分に富山貴光に代えてラドンチッチを入れると、家長が右サイドハーフに。80分には片岡洋介から泉澤仁に交代すると、ボランチは渡邉と橋本の本職ではない二人になった。「全体のバランスが難しくなった」と渡邉も認める通り、前線に人数は多いが有効なボールが入らず、ペナルティエリアまでも行けずにボールを失っては、カウンターから次々にシュートを浴び続けた。84分の失点はフリーキックからのものだが、ニアに飛び込んだ矢野にだれも付いていなかった。「交代して入ってきた選手にマークのチェンジとかを伝達することができなかったし、僕も含めて中にいる選手もそこに気がつかず、修正できなかった」と、江角浩司は唇を噛む。事実上、勝負はここで決まっていた。
名古屋はヤマザキナビスコカップ戦での戦績を1勝1分1敗とし、グループリーグ突破に望みをつないだ。逆に大宮は1分2敗となり、決勝トーナメントはほぼ絶望となった。ただ、勝った名古屋にしても、この勝利を自信として良いのかどうか判断に迷うのではと、そう思えるほど後半の大宮は良いところがなかった。4−4−2に戻したリーグ鳥栖戦でつかみかけた手応えは、それを確かなものにするべく同じスタメンで挑んだこの試合で、再び手のひらからこぼれ落ちた。開幕以来、迷走してきたチームに、いまだ出口は見えない。ヤマザキナビスコカップ残り3試合、せめて進むべき方向を確立する戦いができるかどうか。中断期間のチームの立て直しはそこにかかっている。
以上
2014.05.22 Reported by 芥川和久
J’s GOALニュース
一覧へ- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off