前半見せてしまったリスク管理の甘さによって徳島は敗れた。もちろん掴んだチャンスを逃さない甲府の素晴らしい決定力も確かにあったのだが、しかしやはりこの大敗は自らの守備における甘さが招いたもの。どう考えてもそう言う他ない。
事実、小林伸二監督もハーフタイムには「攻撃している時でも守備があることを忘れないこと。ボールを取られた時のことを意識しておくこと」と指示している。その言葉からも、前半の徳島のリスク管理がどれだけ不十分なものであったか分かると言えよう。
まず徳島は開始すぐの5分に早々とその甘さを出してしまう。甲府DFのミスに乗じてペナルティエリア内でシュートまであと一歩の場面を作りながら、それを防がれ左サイドをあっという間に攻略されると、そこからクロスで揺さぶられて組織は混乱。最後はゴール正面で弾んだボールに寄せ切れず、水野晃樹に豪快なフィニッシュでネットを揺らされたのである。さらに、痛い先制パンチを食らったにもかかわらず、徳島のリスク管理はその後も修正されない。結果、20分には前線で1人残っていた甲府のクリスティアーノにボールを拾われて単独カウンターを浴びることに。斉藤大介が対処にはあたったがそれを止められず、2つ目の失点を喫してしまった。
そしてそれでも甘さを消し切れなかったことで、チームはついに3点目まで許してしまう。前半終了間際に中盤でパスミスを発生させて甲府にボールを奪われると、一本のパスで再びクリスティアーノにゴール近くまで侵入され、作られたその好機をまたも水野に決められたのだ。
ただしそのような徳島も、攻撃面に目を向けると前半はある程度いいリズムでボールを動かせていたと言っていい。高崎寛之がボールを収めて前で起点になれば、宮崎光平や大崎淳矢、衛藤裕らがその近くでプレー。それが実を結ぶ形で25分にPKを得て1点差へ追い上げてからはいっそう全体が活性を高め、中央での細かな繋ぎや左サイドをえぐる形でこれまでの戦いには見られなかった多彩な姿を披露した。
しかしながら、そうした流れを前記の3失点目が壊してしまったと言わざるを得ないだろう。反撃の勢いに乗ったまま後半へ折り返せていれば同点、逆転の可能性も大いにあったと思われるだけに、同じ過ちを三度までも繰り返してしまったことはあまりに残念である。
実際に迎えた後半はほとんど形らしい形を生み出せなかった。ギャップスペースを突かれていた甲府が守りを立て直してきたこともあるが、選手たちには前半アディショナルタイムに受けた精神的ダメージがハッキリと感じられ、それによって徳島は明らかにペースダウン。途中投入されたキム ジョンミンが裏へ抜け出しシュートに至った82分のシーンが後ろ45分で作った唯一のチャンスだったと言えよう。
最近のリーグ戦では守備の向上により失点が目に見えて減っていた徳島。だが、ほんの僅かでも組織に緩みが出ればまだまだJ1では通用しない。この一戦で改めてそのことを痛感させられたはずの選手たちは、「あまりにも簡単に入ってしまうものですから、要所要所をきちっと分析しなければと思っています」と試合後話していた指揮官のもと、猛省をした上でしっかり次に向けて露呈した甘さを解決しなければならない。
逆に勝利した甲府については収穫の多い一戦だったと言っていいだろう。特に城福浩監督も「底上げをするいいゲームになったのではないかと思います」と口にしていたように、バックアップの立場の選手たちが成長の見られるプレーを展開したことはチームにとって非常に意味のあること。それによってメンバー内の競争がいっそう激化すれば、組織の力は間違いなく高まっていくのだから。
いずれにしても、リーグ再開までにどこまでの前進を果たすのか、甲府のこれからに注目である。
以上
2014.05.22 Reported by 松下英樹
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