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【J2:第14節 山形 vs 松本】レポート:互いに決定機を生かせず、現状を映すスコアレスドロー。(14.05.19)

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「自分も含めてですけど、あそこで決めていればというシーンがあった」(西河翔吾)、「自分のせいだと思います。3本ぐらい外してるので」(船山貴之)。いつ破れてもおかしくない0-0の均衡は、ついにそのバランスを保ったまま90分を終えた。「決定力不足」の評価も「守備での踏ん張り」も双方に当てはまるスロアレスドローだった。

前半はアウェイ・松本の試合だった。キックオフ直後からフリーキック、スローインを立て続けに獲得。10分には岩間雄大からのパスをフリーで受けた船山貴之が左角度から枠をかすめるシュートを放つ。ロングボールで押し込み、岩上祐三のロングスローを含むセットプレーを増やし、高い位置から連動してプレッシャーをかけ、ロングボールを蹴らせてマイボールにしていった。29分には喜山康平のリターンパスでフリーになった岩上が縦のスペースに船山を使い、クロスにサビアと多々良敦斗のヘディングシュート。43分にはセカンドボールを岩上が競り合いながらキープすると、田中隼磨がサイドで起点となり、岩上のセットで最後は喜山のミドルシュートにつなげるなど、回数こそすくなかったが巧みにボールを動かすことでつくったフリーの選手がフィニッシュで完遂する理詰めのパターンが見られた。

「相手が蹴ってくるのはわかってたし、それに合わせてやらなくてもいいよという話は中でしていた」(西河)という山形は松本の前線からのプレッシャーを受けながら辛抱強くボールを回そうとする場面もあったが、山形がサイドチェンジした先にも松本はすぐにプレッシャーをかけ、そこから縦につなぐ展開を封じていた。やむなく前方へ蹴った先ではディエゴが何度か競り勝ちフリックオンしたが、裏へ飛び出す中島裕希の進路にボールが入ってはこなかった。その中島は今季初めて1トップでのプレーとなり、スピードを生かしてサイドを突くシーンはあったが、「自分の理想としては、もっとボランチを使いながら、サイドチェンジしながら、つないでいって押し込む形というのが理想だったんですけど、お互いバタバタしてて、あまりサッカーという部分が感じられなかったです」。中盤でのイージーなパスミスや一発狙いのフィードが重なり、いい形でボールが入ってこなかった。25分のコーナーキックでは、石川竜也のボールが入る前にディエゴが相手と潰れ、マークも剥がした西河が良好な視界でヘディングシュートを放ったが、この前半唯一の決定機も枠を外したため得点には至らなかった。

後半は山形が巻き返す。「後半かなり改善できて、出すほうともらうほうと、随分意図が合ってきたんじゃないかなと思います」(石崎信弘監督)と、前半はつながらなかったパスがつながることで安易にボールを失うことがなくなり、その結果として敵陣への踏み込みがより深くなっていく。クイックリスタートから中央を縦にボールを運んだディエゴが右足に持ちかえてミドルシュートを放ったのは50分。その後もディエゴの左クロスをファーで中島が合わせ、GK村山智彦が右手一本でセーブしたシーンや、コーナーキックから西河のセットで秋葉勝がシュートしたシーンなど山形のチャンスが続いた。60分、山崎に代えて前節ゴールを挙げている比嘉厚平が投入させると攻めの姿勢はより鮮明になった。

「後半はセカンドを拾われ始めてから相手のペースになる時間もありました」(岩沼俊介)と苦しい時間を過ごした松本は、65分に1トップを塩沢勝吾にスイッチ。72分、左サイドでセカンドを拾った船山がドリブルで中央へ持ち上がり、預けた田中からのリターンを受けてシュート。松本がハンドをアピールしたもののプレーは続けられ、田中のクロスから喜山のヘディングも枠を外れる。82分にも田中のクロスを岩上が競って落とし、セカンドの喜山を経て打った船山のボレーシュートも枠外。

「我々は少し単発的な攻撃で、正直、流れのなかで点を取るのが難しかった」(反町康治監督)というなか、数少ない決定機を決めきれなかったことで、流れは再び山形へ。しかし、山形も戻りの遅れが見える松本の守備の隙間を縫って決定機をつくるものの、フィニッシュの精度を欠く。84分、中島が中央で時間をつくり、オーバーラップした石川のクロスはファーサイドへ。比嘉のニアへの動きでフリーになったディエゴだったが、ヘディングは枠の外。さらにその直後にも、右サイドのスペースに抜けた松岡亮輔が中島とのワンツーでシュートで持ち込んだが、これもGK村山がキャッチした。89分には逆に松本が決定機をつくるが、山形のペナルティーエリアで塩沢とスイッチして抜け出した船山のシュートはGK清水健太の体を張ったセービングに遭った。互いの決定力の現状がスコアに残された。

連勝は3で止まったが、3試合連続の無失点で終えた松本・反町監督は、「もちろん、勝点3を取るために最後まで努力してはいましたけども、いろんな意味の総合的に判断すると、この地での1というのは、よくやったとしか言いようがないと思います」と評価した。対戦チームが濃い研究をして試合に臨むことに「ちょっと背中がゾクッとしてます」と、結果を出し上位にいるからこそ味わう厳しさと、それに打ち克たなければならない覚悟をのぞかせた。試合前には「山形にはさくらんぼを買いにいくのではなく勝点3を取って帰るつもり」と話していた反町監督だったが、「勝点3を取って帰ろうと思ってましたけども、さくらんぼだけ買って帰ります」。旬には早いため、ハウス栽培ものの購入を決意した。

大きなテーマとしていたセットプレーやカウンターをしのぎ、終盤に強い松本にゴールを割らせずクリーンシートで終えた山形・石崎監督は「ディフェンスのところは十分注意してできた」としながらも、攻撃面については「何回か決定的なチャンスがあったんですけど、そういうところを決めれない。得点が今日はゼロという形で大変残念な結果に終わったんじゃないかなと思います」と3試合連続ドローに終わった試合を振り返った。5月のホームゲームはこれで終わり、次にNDスタで戦うのは6月7日。それまで、チームはどの順位で、攻撃力はどの程度身についているのか。勝点3を得るための得点力アップへ、この試合で踏み出せた一歩を次につなげたい。

以上

2014.05.19 Reported by 佐藤円
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