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【J1:第14節 川崎F vs 横浜FM】レポート:21連戦目の川崎Fは、勝利で大久保嘉人を送り出せず。1ゴールに絡んだ齋藤学の活躍もあり、横浜FMは昨季最終節のリベンジを果たす。代表両選手はここからワールドカップモードへ(14.05.19)

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2月のACLに始まった連戦は21を数えた。試合間隔は最大だった中5日が1回のみで、ほとんどが中3日だった。またコンディション調整に難しさを残す中2日も4回を数えた。そんな日程の中での連戦である以上、疲労の蓄積は必然的なものだった。そういう意味で、横浜FMの試合の進め方は理にかなっていた。

アウェイの横浜FMは、立ち上がりの時間帯を慎重に進めた。自陣にある程度割り切った守備ブロックを作り、川崎Fにボールを持たせた。小林悠は、最近、そうやって相手チームに作られる守備ブロックについて「正確にやれば裏とかスペースは空く。ブロックを作った相手をどう崩すのかが今は面白いです。最後の正確性を高めたい」と話し、試合の中でどう崩すのか楽しんでいるのだと述べていた。つまり相手チームに守備ブロックを作られ慣れてきた川崎Fはそうやって作られる守備ブロックの攻略を楽しむレベルにまで進化していた。

そんな中、川崎Fは前半19分に小林がカウンターからの決定機をシュートで終えると、22分には大久保嘉人がミドルシュート。さらにその2分後には倒れ込みながらスルーパスを通した中村憲剛からのボールを引き受けたレナトがGKとの1対1に持ち込みむチャンスを迎えた。しかし川崎Fはこれらのチャンスのいずれも決めきれなかった。これらの川崎Fのチャンスをしのいだ横浜FMが、逆に30分ごろから攻勢に出始める。

29分には右からのクロスをゴール正面、ダイレクトで齋藤学がシュートするが、GKの正面に飛びゴールならず。35分にも、齋藤に決定機が訪れるが決めきれなかった。横浜FMのそうした前からの圧力を受け流せず、押し込まれた時間帯について田中裕介は「もっとやりようはあったと思います」と反省。逆を取れていたところでパスが出てこないことが多かったと振り返る。横浜FMペースで進んだ前半終了間際の43分のこと。横浜FMは、中村俊輔が蹴った左CKを、ゴール中央付近の栗原勇蔵が頭で決めて先制点を手にする。

前半を1点リードされて迎えた後半から、風間八宏監督は中村憲剛をトップ下に置く采配を取る。この件について風間監督は「今日は体が動かなかった。顔を出す選手が圧倒的に少なかった。それから判断のスピードがいつもよりだいぶ遅かったと思います。ですからそこのところで中盤に少し人数を増やすことで上手くいけばなと思いました」と述べつつ「場所(ポジション)を変えること。そういうことで多少見るものを変える」という変化で、チームの活性化を狙ったのだという。しかし、疲労の蓄積したチームにとって、この采配が変化をもたらすまでには至らず。川崎Fは後半も横浜FMの攻略に手こずる事となる。

そんな中、後半57分に横浜FMは追加点を決める。55分に接触プレーにより顔面を負傷したジェシが、ピッチ外に出て治療をしていたそのタイミングで齋藤がドリブルで仕掛け、エリア内へと進入。DFのブロックを受けるが、このこぼれ球を伊藤翔が押し込み追加点を手にした。

大久保嘉人の「後半、2点だったらね、行けるなと思いました」との言葉からも分かる通り、45分あれば2点差は射程圏内だという程度には攻撃に自信のある川崎Fではあったが、狙い通りに試合を進める事ができず。大島僚太から森島康仁に交代した66分のベンチワークを皮切りに、76分に山本真希。83分には金久保順を投入して反撃に出るが、試合終了間際の88分に、中澤佑二が中村俊輔の蹴ったCKのボールをダイレクトで蹴りこみ決定的な3点目。結局川崎Fは1点も返すことが出来ず、ホーム等々力で0−3の完敗を喫する事となった。

ワールドカップによる中断もあり、リーグ戦はここで一旦中断となる。試合後風間監督は、リーグ戦とACLとを戦ってきた21連戦について振り返り、「一つずつの試合にものすごく思い入れがあって、ゲームをみんながやっているわけで、そこで体の体力。心の体力というんですかね。そこも多少削られてきても仕方ない」と述べてコンディション的な難しさがあった事を認めつつ「それは終わったから言えることです」と言葉をつなげた。21連戦中にこうした言葉を口にするとそれが選手に波及して「士気が下がる」可能性があるからだとのこと。そしてこの21連戦、選手たちが「誰も文句を言わずにやってくれた」と謝意を述べている。

一方、勝利した横浜FMの樋口靖洋監督は"等々力"での試合だった事、つまり昨季優勝を逃した因縁の場所だったことが一つのポイントだったと述べつつ「ここまではアグレッシブさであるとか、躍動感であるとか、あるいはチームの前に行くパワーであるとか。そういったところがなかなか表現しきれないゲームが多かった」と反省。3ゴールを奪ったことについて「今日のゲームを一つスタンダードにして、再開後、さらに巻き返しを図れるようにしたいと思います」と前を向いた。後半戦に向けて、非常にイメージの残る試合となったようだ。

なお、ワールドカップのメンバーに入ったこともあり、ゴールが期待された大久保嘉人、斎藤の両者には結局ゴールは生まれず。ブラジルに向けた壮行弾とはならなかったが、それぞれのサポーターがそれぞれの形で彼ら二人を送り出した。また試合前には川崎Fサポーターから中村憲剛に対して横断幕が掲出されており、中村憲剛は感謝の言葉を口にしていた。

大久保、齋藤の両選手は21日から始まるワールドカップ直前の代表合宿に合流。その後に迎えるワールドカップ本大会に備える。国民の期待の集まるビッグイベントなだけに、その活躍を期待したいと思う。

以上

2014.05.19 Reported by 江藤高志
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