試合前日の金曜日、セットプレーを確認する練習のなかで、最初に主力組に入ったのはダヴィだった。それを見た赤崎秀平は大いに落胆したという。
「次はお前で行くぞ」
週のなかばからずっと、そう告げてくれた監督の言葉は何だったのか。さまざまな思いが頭の中に去来するまま練習を終え、クラブハウスをあとにした。しかし、午後に再びクラブハウスを訪れると、近づいてきた大岩剛コーチがおもむろに告げてきた。
「明日あるからな」
その一言で、気持ちはサッと切り替わった。やるべきことを頭の中で整理し、試合に向けた準備を進めた。
試合を動かしたのは、その赤崎だった。25分、土居聖真が縦に仕掛けて右サイドの深い位置に侵入するとマイナスの折り返しをゴール前に送る。
「あのシュートの前にキーパーと1対1の場面があって、聖真から良いボールが出たんですけど、うまくボールに意図が伝わらなかったというか、コースに蹴れなかった。そのシーンがあったので、力が抜けてうまくシュートを打てた感じがあります」
簡単なパスではなかったが、ゴール前に飛び込むと見せかけてマークを外していた赤崎は、力むことなく右足を振り抜き、GKの手を弾くシュートで先制点を奪った。気持ちを爆発させ何度も何度もガッツポーズを繰り返す。ようやく巡ってきたチャンスをゴールという結果に結びつけた。
しかし、26本のシュートのうち、ゴールネットを揺らしたのはこの1度きり。トニーニョ・セレーゾ監督は「単純に、今日つくったチャンスの数とゴール数を照らしたときには、非常に少ないな、と思います」と言って眉をひそめた。しかし、そのあとに「チャンスをつくれなかったなら大きな問題ですが、チャンスをつくれたのであれば、いつかはもう少し精度が高まり得点に繋がるようになります」と続けた。久しぶりに複数の選手が連動する攻撃で、連敗を3で止めることに成功した。
とはいえ、徳島もまったくチャンスがなかったわけではない。シュートは4本に留まったが、後半にはあと一歩の場面をつくった。75分には高崎寛之がヘディングシュートを放ち、83分には小島秀仁がミドルシュートを放っている。しかし、いずれも曽ヶ端準のセービングにあいゴールラインを越えることはできなかった。前半は中途半端になっていたポジショニングを整理し、サイドハーフが勇気を持って前に出るようになった後半は、主導権を握る時間帯もあった。
「少しずつ自分たちのサッカーをこのJ1のなかでも表現できるようになってきた」
小林伸二監督も、失点数が減ってきたことに手応えを感じていた。
今節でJ1のリーグ戦は中断期間に入る。鹿島は、前線が連動する攻撃により磨きをかける必要があるだろう。徳島も、5バックの守備をさらに整理して、攻撃に繋がる回数をより増やしていくはずだ。
「今回は後期が少し長いですから、もう一度うまく準備に入れればいいと思います」
小林監督のコメントは両チームに共通する言葉として響いた。
以上
2014.05.18 Reported by 田中滋
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