数試合前まではシーズンの1/4という段階だったが、今節をもってリーグ戦の日程もちょうど1/3を終える。小野剛監督を迎えて新体制となった熊本の今シーズンのここまでの数字は、4勝5分4敗の勝点17。3連勝からの4連続ドロー、そして前節は湘南を相手に8試合ぶりの黒星を喫して順位は14位となったものの、13節終了時点で6位の長崎との勝点差は3、15位千葉までがこの3差の中に密集していて、まだまだプレーオフ圏との差は紙一重だ。ちなみに昨シーズン同時期の数字を見ると、13節終了時で4勝4分5敗と戦績はほぼ変わらず、順位も14位と全く同じ。つまりここからどれだけ勝点を積み上げていけるかが、シーズン中盤から後半の浮沈に関わってくることになる。
ただ、数字上は同じでも、昨シーズンと違うのはゲームによって大きな浮き沈みがなく、ここまでほぼ安定した戦いぶりができていることだ。決して層が厚いとは言えないなかでも、登録選手中すでに25人の選手が出場。連戦の疲労等を考慮されている側面もあり、逆に全試合フル出場は1人もいない。にも関わらず、一貫したコンセプトのもと、誰が出ても同じサッカーができているのが強み。そのベースとなるのが前線からの積極的な守備であり、攻撃陣のファーストディフェンスがゲームの流れをつかむ上での大きなポイントになっている。実際、これがうまくできている試合では主導権を握ることに成功。前節の湘南戦も、前半途中までは優位な展開に持ち込むことができていた。
「守備で追い込んでいった時にボールを取りきれなかったことと、後半にラインが引かされてしまった時に、そこからまた出て行けなかった」と齊藤和樹。ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取り、特に守備での貢献度も高い中山雄登も「90分持たせようと思ってやっていないし、自分は前からの守備とハードワークで使ってもらっていると思う。押し込まれる時間になっても出て行くことを意識したい」と話しており、ミーティングにおいて挙がったという湘南戦での課題をピッチでうまく修正できるかが、今節の1つのテーマになる。
今季初めての開催となる水前寺競技場に迎えるのは現在19位の東京Vだ。「この2試合無失点で連勝しているし、守備を安定させながら、スピードと技術を備えた選手の持ち味が攻撃に出るようになってきている。順位は確かに苦しんでいるように見えるが、若い選手も多いし、勢いを持たせると厄介な試合になると思います」と小野監督。東京Vでカギを握るのは、ここまで3得点の常盤聡と前田直輝もさることながら、後方から配球の起点になっている井林章とキム ジョンピルのセンターバックコンビ。序盤はここから長いボールを使って相手の陣形を押し下げる場面もあるが、相手のプレッシャーが緩ければボランチへの縦パスが増え、左に入っている鈴木惇がやや中へ絞るポジションを取ることによってサイドバックがオーバーラップするスペースを生み出す。サイドから斜めに入ってくる仕掛けは、安西幸輝と安在和樹の左右サイドバックも積極的で、讃岐戦では1列前に上がったポジションのシフトもあって、長いドリブルから安西が得点を記録。また前節の常盤の決勝点のように、状況をみた思い切った判断も結果につながっており、中央のユニットの安定が攻撃の勢いを支える。
そうした点を踏まえれば、前述した2人の言葉にもあるとおり、東京Vの出どころを抑えることが熊本にとっては大きな狙いとなる。前からのプレッシングと押し上げ、出どころへのアプローチによってできるだけ高い位置でボールを奪って攻撃へ切り替えたいところだが、最終ラインと中盤の2ラインでブロックを作った対応を見せる東京Vの守備に対して、どうやってギャップを作り突破するかも見どころ。この数試合、ボールを保持する時間は増えている熊本だが、最後の部分で相手に怖さを与える場面はまだ少ない。これを受け、試合2日前のトレーニングでは多少のリスクを負ってもチャレンジすることを意識づけたように、相手を食いつかせるための縦パスを積極的に打ち込めるか。これに食いついて来なければターンしてゴールへ向かって仕掛けたり、食いついてくれば背後のスペースを衝いたりと、最後のシュートと合わせて状況判断の精度を高め、攻撃を色付けできるかにも注目したい。
最後になるが、先月、期限付き移籍で加入したGKシュミット ダニエルの移籍期間が19日で満了となり、仙台に復帰することが昨日リリースされた。残念ながら今週は別メニュー調整しており、この試合への出場はなさそうで、熊本で「初勝利」を記録することはできなかった。それでも、2つの完封を含めて4戦負けなしと、わずか1ヶ月の在籍でチームの窮状を助けてくれたのは確か。試合後にはピッチでの挨拶とファンサービスも予定されているので、多くのサポーターに足を運んでもらえたらと思う。
以上
2014.05.17 Reported by 井芹貴志
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