岡山は、4月26日の第9節から5月11日の第13節までを「5連戦」と捉え、メンバーを入れ替えながら戦った。「みんなで守備をする、攻守の切り替えを早くする、という部分で相手を上回れたことが、3勝2分という成績にしてくれたのではないかと思う」と岡山・影山雅永監督。最終ラインのメンバーが替わってから、全員で守備をする意識は高まっていた。とくに前線からプレスを掛けることで狙い所を知ることも出来た。また、「ボールをなくした後、相手の攻撃の初期動作を抑えることは本当によくやってくれている。それが逆に奪った後の、守から攻へのスピードアップに、アラートな状態、奪ったら出る、奪われたら止める、ということが習慣としてスピードを持って出来ている」とも話す。
この5連戦はピッチに出たすべての選手が、印象に残る姿を見せた。栃木戦で言えば、片山瑛一のひたむきさ、真面目さ。山形戦で言えば、三村真のボールを失わず、味方に繋げる力。もちろん5戦全戦にわたって、最終ラインの後藤圭太、鎌田翔雅、田所諒の身体を張った奮闘は際立った。すべての選手がひとつの目的に向かって、自らの役割を理解して、それ以上の気持ちを見せた。しかし指揮官は言う。「手応えを感じたら、そこで止まってしまう。もっと、もっと奮起が必要だ」と。選手も自分のパフォーマンスに満足してはいない。
連戦を終えて、今節ホームに迎える相手は、ラモス瑠偉監督率いる岐阜。川口能活、三都主アレサンドロら元日本代表選手と、ラモス監督の信頼も厚い高地系治、運動量豊富なアタッカー・太田圭輔、昨年水戸でプレーした難波宏明らが加入。彼ら経験豊富な選手と、岐阜セカンドからトップチームに昇格した田中智大、比嘉諒人、遠藤純輝ら若手が融合し、全員が攻撃に絡むチームとなっている。
注目選手は多いが、岡山の後藤圭太が挙げたのは、「身体能力の高いナザリト、顔が上がっている高地、がむしゃらな難波」。【4-4-2】の2トップを組む元U-20コロンビア代表のナザリトは現在、チームトップの6得点。前節のゴールの際、右膝をポールで強打し、後半はベンチに下がったが、公式発表はなく、パワーとテクニックを兼ね備えた187cm、87kgのストライカーがkankoスタジアムでプレーする可能性は高い。また難波も今季すでに5得点。5月6日の千葉戦で頭部に怪我を負ったが、翌日7針縫って、11日の水戸戦には後半から出場している。いずれにせよ、タフであることはこのチームの必要最低条件で、そこに高地の正確なクロスや突破、千葉戦で初ゴールを決めたルーキーの比嘉、田中の躍動が上乗せされている。
岐阜は前節、水戸戦で2度リードしながら逆転負けを喫し、ラモス監督はこうコメントしている。「残り15分で相手は速い選手を入れてきて、森本の動きをつかめなくて引いたのはしょうがないところがあった。でも、今日は若さ(でやられた)。昔の言葉で言うと、根性がない」。悔しい敗戦後の巻き返しのゲームとなる。今節、ボランチのヘニキは累積で出場停止だが、岡山が押さえるべきは、根性を取り戻した、ピッチ上のすべての「個」となる。
岡山の最終ラインは集中力と気持ちを全面に出しながら、5連戦のうち4試合を無失点で終えている。ロングボールで対策を取られた第12節・福岡戦は難しいゲームとなったが、繋いで崩したい岐阜との対戦は真っ向勝負の戦いになるだろう。「自分たち自身の力を出せるかどうかがキーになる。5試合がこういう成績だから、岐阜戦はもっと大事になるし、どういうプレーをするかが大事になるので、自分たちに目を向けて準備したい」と影山監督。プロのキャリアをスタートさせ、昨年までの5年間、岐阜に在籍した染矢一樹は、「ずっと一緒にやった選手もいますし、フロントスタッフも全員を知っているので、特別と言えば特別です。でもどの試合も自分にとっては重要だから、普段と変わらないつもりでやりたい」と話す。また、磐田に在籍していた押谷祐樹、上田康太は、大先輩・川口からゴールを奪いたい気持ちが強いはずだ。1万人以上の観客が見込まれる晴天のスタジアムで、互いの良さを出し合う好ゲームを期待したい。
以上
2014.05.17 Reported by 尾原千明
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